パネルで進化する木造住宅建築|現場の効率性向上で人材不足に対応

投稿日 : 2019年11月07日


ワールドハウジングクラブの「未来パネル」を用いて建築した住宅

住宅業界が慢性的な人手不足に苦しむなか、住宅建築を飛躍的に効率化するためのパネル工法が脚光を浴びています。

工場で製造したパネルを建築現場で組み建てることで、工期や工数を大幅に削減でき、木造建築を大きく変える可能性を秘めています。

月額5万円の会費で図面やツールの提供、職人手配も

ワールドハウジングクラブでは、住宅キット販売プラットフォーム「HOME ⅰ LAND」という事業をスタートさせました。

この事業の大きな特徴のひとつが、3年をかけて開発した窓や断熱材を組み込んだ「未来パネル」。工場生産した「未来パネル」を使うことで、現場では組立てのみで建物が立ち上がります。

窓はツーアクションのトリプルガラス樹脂窓、断熱材にはフェノールフォーム断熱材を採用しており、高い断熱性を発揮します。

基礎部材の部品化も図り、型枠レスの基礎工法を採用しています。パネル化・部品化することで運搬、施工、性能の効率化を目指しています。

商品としての差別化を図るために、次世代スマートキーや未来窓といった「未来パーツ」も用意。この「未来パネル」や「未来パーツ」は、仕様のレベルアップや新パーツの導入などによって、バージョンアップを随時進めていく考えです。

同社では、「未来パネル」を用いたキットハウスの販売だけでなく、各種図面や仕様書、パネル図などのほか、プラン集やカタログ、実例写真など販売ツールなども提供していきます。

工務店や設計事務所は、月額5万円の会費を支払えば、こうしたサービスを利用することができます。

職人を手配するサービスも会費に含まれています。建設業界最大級のオンラインマッチングプラットフォーム「SUSTINA」と連携し、その会員を紹介していく計画です。

企画型住宅、部品化、図書やツールの提供から人の手配までのシステムを構築することで、エンドユーザーには安く高品質な住宅を、工務店は安定した適正利益を得られるようにしたいというのが、同社の考え。工務店の適正利益として一棟当たりの粗利400万円以上を目標としています。

今後、ワールドハウジングクラブでは、年間20~30棟程度の工務店を中心に、2020年3月までに100社、2020年度に500社、2021年度までに1000社の会員を獲得していく計画です。

加えて、今年度100棟、2020年度500棟、2021年度1000棟、2025年度が1万4000棟という販売計画を発表しています。

未来パネルの製造については、同社と契約した工場が生産していきます。

現在、東北、関東、四国、中部の4カ所で、一社当たり月産30~50棟程度の能力を持っているそうです。

契約工場は基本的に150㎞をカバーするエリアを想定しており、3年後をめどに全国(北海島、沖縄を除く)で30工場まで増やしていきたい考えです。

工場で製造した大型パネルで在来木造を工業化

パネルを用いて住宅建築を合理化しようという取り組みの先鞭をつけたのがウッドステーションです。

同社では、木造の大型パネルを用いた在来木造住宅を建築していくことで、住宅建築の合理化・高度化を図ろうとしています。

木造大型パネルとは、住宅用資材として一般流通している柱や梁、耐力面材、断熱材、サッシ、金物、防水シートなどを工場で一体成型したもの。従来からある羽柄パネルとは異なり、柱や梁といった構造材までもひとつのパネルに組み込み、躯体施工の部分を工業化することで大工の負担を軽減することができます。

ウッドステーションでは、2018年12月、早稲田大学西早稲田キャンパス敷地内で木造大型パネル住宅の公開施工実験を開催しています。

1日目には東京都新宿区の早稲田大学構内にウッドステーションの木造大型パネルを用いて2階建ての木造住宅を建設し、2日目にはそれを解体して撤収しました。

公開施工実験の結果、通常10日~14日かかる工程を大幅に短縮し、約4時間程度で構造躯体や開口部、室内階段などの施工が完了することが分かったそうです。

同社では、在来木造を工業化することを目指しており、住宅建築の工程の多くを工場に移管することで、地域の工務店などが人手不足に対応しながら高品質の住宅を提供することをバックアップしていこうとしています。

また、全国のプレカット材を製造しているメーカーなどと連携しながら、パネルの製造体制も整備しようとします。

さらに、ITを活用し住宅建築に関する様々な情報を一元的に管理することで、パネルを用いた建築をさらに効率化しようという取り組みも進めています。

野村総合研究所では、2030年時点で住宅18万戸分の職人不足が発生すると予測しています。

2015年時点で35万人の大工の人数が、2030年には21万人まで減少するというのが大きな要因です。大工1人当たりの新設住宅着工戸数は年間2万戸前後。21万人の大工で建築できる住宅は42万戸にしかなりません。

新築住宅着工戸数が60万戸まで減少したとしても、効率性を高めない限り、それだけの数の住宅を供給するための大工が足りないという状況を迎えるのです。

それだけに、パネルを用いて住宅建築を効率化していこうという動きが今後も表面化してきそうです。

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