住宅事業者の中大規模木造の技術開発が加速

投稿日 : 2019年11月25日/更新日 : 2023年06月05日


住宅品質保証の木造本社イメージ

住宅事業者で中大規模木造の取り組みが活発化、さまざまな技術開発が進んでいます。国の木材利用促進の後押しもあり、木造によるオフィスや施設などが新たな市場として注目を集めています。

ポラスグループの住宅品質保証は、木造の本社屋を新たに建設すると発表しました。同グループは、自社施設の「ポラス建築技術訓練校」や「ウッドガーデン」などの木造オフィスを建築しているほか、福祉施設やスポーツ施設、幼稚園や病院、教会、倉庫などの非住宅木造建築事業に取り組んできました。

新たに建設する本社屋は、一般に木造住宅に使われる流通材、住宅用プレカット加工機の利用によるオリジナル構造部材「合せ柱」、「重ね梁」と、CLT(ひき板を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料)を耐力壁として使用する木質構造による3階建てです。

外壁の一部をカーテンウォールとし、本来隠れてしまう部分を積極的に見せるファサードとすることで「木でできたビル」を強調する予定。木が持つ温かみと、力強い構造美をあわせもつ特徴的なデザインとなります。

また、先には住友林業がLVL(単層積層板)を活用した独自技術による木造3階建ての新研究棟を筑波研究所内に完成しました。木材の使用量は壁柱のLVLで500㎥、柱・梁の集成材で252㎥、床のCLTで235㎥と計987㎥に及びます。高さは15mと通常の建物の5階建て相当で、CO2固定量換算で689tの削減につながるそうです。

新研究棟は、壁柱に縦横1200mm、厚さ300mmのLVLのブロックを、縦方向に市松状に積み上げ、その中に鋼棒を貫くオリジナル構造を採用しています。この技術により、木造で不足しがちな剛性を補い、地震への強さと復元力の高さを実現します。

同社は2041年を目標に高さ350mの木造超高層建築物の実現を目指す「W350計画」を進めています。この研究棟は「W350計画」の要素技術となる構造で建てられるなど、実証実験の役割を果たすとともに、同計画の研究拠点となります。

東京オリンピック・パラリンピックにおいて、環境に配慮した持続可能な大会を実現するために全国各地の木材をさまざまな建物に使う「日本の木材活用リレー」が展開され、全国63自治体が事業協力者として決定しています。

地域振興を目的に地域産木材の活用に力を入れる自治体も多く、さまざまな建物での木材利用がさらに進みそうです。

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。