住友林業、若手設計者の研修にVRを導入

投稿日 : 2019年12月19日

住友林業は、入社3年目までの住宅の若手設計・生産(工事)担当者を対象に、VR(バーチャルリアリティー)を活用した研修を来年度から本格的に導入します。VRはスマホゲーム大手のグリーと共同開発しました。場所を選ばず、建築現場での研修を体験しながら、業務プロセスの理解を高めるのが狙いです。人材育成の新たな手法として住宅業界で注目を集めそうです。

人手不足が指摘される中、離職率を抑え、戦力となる人材育成を迅速に行うことは、どの産業にとっても大きな課題となっています。とりわけ住宅産業では、設計や監理など人が担う部分が多くあります。住宅購入者の満足度を高めるためには、優秀な人材をいかに育成するかが大きなポイントとなっています。その際に重要となるのが建築現場での研修ですが、現状では課題も指摘されています。

例えば、住友林業のケースでは、知識などの習熟度にばらつきがあるというのです。このため「4年目になり、独り立ちして現場に出ても、研修で学んだことがうまく反映できず、現場でまごつくこともある」と言います。他にも、現場研修は工事中の住宅建築現場となるため、住宅購入者に協力してもらったり、研修内容に合わせて研修現場先を確保したり、研修を実施する上での負担も多くあります。

そこで住友林業が目を付けたのがVR動画です。これを使うことで、従来、現場での一方通行的な講義に比べ、主体的にカリキュラムを進めることが可能になります。また従前の現場研修では訪問時の断片的な現場状況の理解にとどまっていましたが、「建築工事の全体的なプロセスをVR動画で学べば実地研修以上の効果が見込める」(同社)とみています。また、これまで課題であった知識の習熟度のばらつきも、研修会場内でVR動画をいっせいに見ることで改善できます。

研修場所へ実際に行く必要がないため、移動時間を大幅に短縮でき、現場業務の働き方改革へ繋げることもできます。

主な研修事例としては①建築計画研修②仮設計画研修③安全管理研修④建築施工現場研修――4項目あります。


画像引用:住友林業 ニュースリリース

建築計画研修では、建築計画をたてる上での敷地解析の手法を学びます。仮設計画研修では、仮設工事の一連の流れをVR動画で体感し、仮設工事の基本知識やスケール感を習得します。同時に安全管理への理解も深めます。安全管理研修は、建築作業中の現場(VR動画)から自発的に危険箇所を抽出し、その危険箇所から想定される災害内容を疑似体感。安全基準の知識を習得し労働災害への理解を深めます。また、建築施工現場研修では、住宅建築の施工プロセスを体感して基本的な木造建築の施工手順を理解し、住友林業のオリジナル構法の訴求ポイントの把握につなげます。

VR研修を現在試験的に導入しており、住友林業では来年4月以降の新入社員研修から本格的な導入を計画しています。「人材育成は経営基盤、組織力の強化につながる」とVR研修の効果に期待を高めています。