今後の住宅購入で「木造派」が過去最低
今後、住宅を建てたり買ったりする場合に「木造住宅」を選ぶ人は73.6%と、前回調査(2011年)よりも7.1ポイント減った事が、内閣府の実施した「森林と生活に関する世論調査」で分かりました。
3月期決算の住宅メーカー大手5社の2019年4~9月期決算が出そろいました。多くは増収となりましたが、消費増税の影響から、受注高は軒並み減少。国内の住宅需要の落ち込みを前期の受注増や他の事業でカバーした格好となりました。10月以降の下期についても、消費増税の影響を想定した弱気な見方が住宅業界内では多いです。
消費税が8%から10%へ引き上げられたのは10月1日です。住宅も10月1日以降に引き渡される場合、10%の税率が適用されるのですが、工事請負契約では経過措置というものが設けられています。その経過措置により、注文住宅では引き渡しが10月1日以降であっても、2019年3月31日までに契約を終えていれば、8%の税率が適用されるのです。このため、消費税が実際に引き上げられる前の、前期(4~9月)の決算でも増税の影響が出ています。
大和ハウス工業は事業施設などを中心に業績を伸ばし、売上高は2兆1793億円で前年同期を9.9%上回りました。戸建住宅は前年比1.5%増の2396億円で、海外での住宅事業の成長に支えられたのが要因です。国内の戸建住宅は、消費税の影響を受け、売り上げを落としました。第2四半期の受注高は前年同期比で9.2%減少しましたが、芳井敬一社長は「想定以上に消費税対策が効いている」と受け止めています。
住友林業の売上高は5297億円と前年同期を10.6%下回りました。売り上げの半数を占める木材建材の取引にかかわる収益計上を変更したことが主因です。国内輸入合板市場の低迷やニュージーランドのMDF製造事業の日本向け販売の減少も響きました。
住宅建築事業の売上高は2337億円で前年を16.2%上回りました。要因として大きかったのは、前期の戸建て注文住宅・リフォームの受注が堅調だったためです。第2四半期の受注は、やはり消費増税の影響を大きく受けました。戸建注文住宅での金額は前年同期に比べ13.2%の減少となりました。リフォームも苦戦し、前年同期を8.5%下回りました。「大型物件を中心に消費増税の反動減があった」(市川晃社長)と振り返っています。
旭化成ホームズグループの売上高は3049億円で、前年同期比で12.2%増えました。建築請負部門を担う旭化成ホームズの昨年の受注増が貢献したものです。旭化成ホームだけの売上高は1973億円と過去最高を記録しました。ただ、上期の受注は、「増税の影響を少し受け」(川畑文俊社長)ており、金額ベースで前年同期を7.1%落としたものの、賃貸アパートの集合系の伸びが、戸建ての落ち込みをカバーしました。リフォーム部門では売上高、営業利益ともに過去最高を記録しました。売上高は前年を17.5%上回る320億円です。「改装工事が前年から引き続き好調だったのに加え、防災意識の高まりから蓄電池などの設備工事が大幅に増加した」と川畑社長は話します。
積水化学工業 住宅カンパニーの売上高は前年同期を4%上回る2569億円となりました。「災害の影響により新築の売り上げ棟数は減らしたがが、受注は健闘した」と神吉利幸プレジデント。各社が大きく受注を減らす中、同社の受注棟数は前年同期比で2%減にとどまりました。「消費税の反動減により、鉄骨系は苦戦したものの、一次所得者の需要は堅調で、木質系は大幅に増えた」と神吉プレジデントは分析します。リフォームの売上高は494億円で前年を5.8%上回りました。これは、太陽光発電から生み出された余剰電力を買い取る固定価格買取制度(FIT)の終了による、いわゆる「卒FIT」が大きく関係しています。これまで買い取ってもらっていた余剰電力を、蓄電池に貯めるという提案を各住宅メーカーでは始めています。積水化学工業 住宅カンパニーでは、蓄電池設置に関わるリフォーム工事で売り上げを伸ばしています。
ミサワホームの売上高は前年同期比11%増の2093億円。海外子会社が連結に加わったことや、リフォームやマンションでの売り上げ増も貢献しました。
住宅業界として気になるのは消費増税が引き上げられた10月以降の下期の受注動向です。住宅の業界団体である住宅生産団体連合(住団連)では、四半期ごとに「経営者の住宅景況感調査」を実施しています。それによりますと、第3四半期(10~12月)は、注戸数でマイナス46ポイント、受注金額でもマイナス42ポイントと見通しています。会員企業からは、「受注減が継続」、「回復のための起爆剤が見えたらない」、「10月からの本格的な消費増税により、手控え感から慎重になると思われる」などとの声も挙がっています。
決算会見でも厳しめの見通しが相次ぎました。下期を含めた通期の受注金額について、大和ハウス工業では前年比7%減と予想。「少し控えめに見ている」(芳井社長)としています。住友林業は二けた減を見込んでおり、市川社長は「駆け込み需要による反動減は予想通りだが、ただその後の回復が鈍い」と見ています。今のところ受注回復について楽観できないという見方が住宅業界内では多いです。
不動産業界ニュースに興味がある方は下記の記事をご覧ください。
いえーるダンドリに興味がある方はこちら
不動産業界ニュース関連の記事