頻発する自然災害|あらゆる災害に打ち克つ住宅を実現するには

投稿日 : 2019年10月13日/更新日 : 2023年06月05日

アキュラホームの「ミライの家 Rei」。太陽光発電と蓄電池を搭載した日産の電気自動車「日産リーフ」を搭載しており、停電時でも電力を使用できる。

求められる住まいの防災対策

千葉県を中心に甚大な被害をもたらした台風15号。台風や地震などの自然災害が全国各地で発生し、多くの被害をもたらすなか、住まいの防災対策を再考する必要がありそうです。

耐震だけでなく、制震、免震も

住宅の防災対策を考えるうえで、まず重要になるのが地震対策でしょう。「地震大国」とも言われる日本だけに、住宅の地震対策は不可欠です。

国土交通省の推計によると、2013年時点での住宅の耐震化率は82%。これを2020年までに95%に高めることが政府の目標となっています。

ここで言う耐震化率とは、1981年6月に施行された改正建築基準法以後の基準に適合している住宅の割合です。この基準は、「震度6強~7の地震でも倒壊・崩壊しない」というレベルに設定されています。

住宅の耐震性能については、阪神・淡路大震災をひとつの契機として、大きく向上しました。しかし、2016年に発生した熊本地震では、新耐震以降に建てられた住宅にも被害が発生しており、住宅性能表示でいう耐震等級3レベルの耐震性能を基本仕様にする住宅会社も増えてきています。

制震技術を採用し、さらに地震への耐性を高めようという動きも広がっています。制震技術とは、地震の力を鉄骨ブレスやオイルダンパー、減衰ゴムなどの部材で吸収し、躯体にかかるエネルギーを低減させようというものです。

さらに揺れを低減する免震装置を導入した住宅も登場してきています。

住宅の耐震性能を向上するためには、地盤の状態も考慮しなくてはいけません。住宅を建てる前に適切な調査を行い、その結果に基づき必要に応じて地盤改良工事を実施するのです。液状化現象が起こる懸念がある場所であれば、液状化対策も施すことも検討すべきでしょう。

風害、水害などに対する対策も

台風や竜巻などによる風の被害も見逃せません。風害リスクを低減するうえで、まず検討しておきたいことが屋根の対策。

損害保険料率算出機構がまとめた「強風災害の発生と被害に関する統計」によると、1991年に約66万棟もの住宅被害をもたらした台風19号の場合、住宅被害全体のうち87%が屋根の被害だったそうです。しかも、そのうち75%が瓦屋根の被害となっています。

瓦屋根については、強風や地震による揺れなど剥がれ落ちるという被害が多発していますが、「ガイドライン工法」という施工方法を採用することで、被害を回避することができます。どうしても災害に弱いイメージがある瓦屋根ですが、こうした施工方法を採用することで、リスクを低減することは可能なのです。

前出の損害保険料率算出機構の統計によると、サッシやシャッターなどの開口部の被害も47%と5割近くを占めています。開口部の被害を防止するためには、台風が多い地域や沿岸地域向けに開発された耐風性能を高めたシャッターなどの採用を検討するとよいでしょう。

集中豪雨などによる都市型洪水への備えも考えておくべきです。雨の降水量が都市インフラの排水能力を超えると、大量の雨水がより低いところをめがけて流れ込みます。住宅の場合、床下や床上浸水だけでなく、地下室に水が流入することもあります。その結果、水圧で地下室に通じるドアが開かないという状況が発生するのです。

東日本大震災では、津波によって甚大な被害がもたらされました。東日本大震災での被害を国土交通省が調査した結果、木造住宅では津波(浸水深)が2mを超えると、木造住宅では「全壊(流出)」する建物が増えることが分かっています。

津波被害を抑制するためには、街や地域単位での取り組みが必要になるため、住宅だけで行えることは限られています。ただし、東日本大震災では現代的な工法や適切な構造計算が行われている木造住宅では、浸水深が3m以下でも危険な損壊に至りにくいといったことも分かっています。

非常時に住まいが避難所となるために

防災には、自助、共助、公助という概念があります。一般的に、災害発生から48時間は自助や共助で生活を続ける必要があると言われています。

公助の手が徐々に入ってくるまでに48時間くらいの時間が必要になるからです。災害の規模が大きくなれば、もっと長い時間を自助や共助でしのぐことが求められるでしょう。

首都圏直下型地震などの大災害が発生した場合、避難所の数が不足することも想定されます。ただでさえ困難が強いられる避難所生活ですが、そもそも避難所にさえ行けないという事態も考えておくべきなのです。

住宅の被害が少ない場合、自宅で避難生活をおくった方が安心できることもあります。それだけに、いざという時に住宅が避難所になるような配慮が重要になるのです。

例えば、太陽光発電システムと蓄電池を連携させることで、非常時でも電力を使えるような状況を作り出すことが可能です。

アキュラホームでは、太陽光発電と蓄電池を搭載した日産の電気自動車「日産リーフ」を搭載した「ミライの家 Rei」を発売しています。この「ミライの家 Rei」のモデルハウスを災害時に周辺住民に開放し、スマホの充電などに使う電力を供給する取り組みを日産自動車、日産プリンス埼玉販売と行っています。

災害時には水の確保も大事になります。積水化学工業の住宅カンパニーでは、飲料水貯留システムを導入した住宅を提案しています。断水になると貯留タンクにある水を足踏みポンプで操作し、キッチンや洗面台の水栓から水を出すことができるというものです。1つのシステムで24ℓの飲料水を確保できます。

非常時でも電気や水を利用できる住宅を実現できれば、災害時でも自宅が一番安全な場所になるかもしれません。

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。