多能工化

投稿日 : 2020年01月15日

一般的な建設工事の流れ

専門技能の幅を広げ生産性を向上

キーポイント

▶1つの建設工事には多数の専門工事が関与

▶専門業種のストップで工事全体に悪影響

▶建設業の持続的成長へ 多能工化モデルを普及

職人不足が深刻化するなかで、建設業の生産性を高め、担い手を確保・育成していくためには、職人の多能工化を進めていくことが不可欠だ。とくに一つの許可業種に特化する中小・中堅の建設企業は、競争力強化を図る上で多能工化を推進していくことが重要になってきている。

建設工事は専門家・分業化されており、1つの案件にも多数の専門工事企業が関与している。建設業の許可は、29業種にのぼり、建設業に携わる企業は、営業する業種ごとに許可を取得する必要がある。

建設工事に関する専門業種のどれか1つがストップすると、その工事以降の専門工事業者に影響が及び、建設工事全体の流れが滞る懸念がある。

こうした中で国土交通省は、18年5月、専門技能の幅を広げ複数の工程を担当することができる多能工を育成するための研修プログラムなどの作成および、多能工の活用計画の策定・実施などを支援する「多能工化モデル事業」支援対象案件の公募を開始。

多能工育成に向け、中小・中堅建設企業や建設行団体、地域の教育訓練機関などが連携して行うモデル性の高い取り組みとして9案件を選定した。必要経費の一部(一案件あたり上限300万円を目処)を支援し、先行モデルとして普及を図ることで、生産性向上、建設業の持続的発展を支援する。

関連職種への職能拡大など多能工モデルが続々

多能工化モデル事業として、住宅関連企業の取り組みも選出された。

その一つが、住宅の外装工事業などを展開するヤマガタヤ(愛知県名古屋市)の「住宅壁面測定からサイディング加工・施工までの多能工化システム」。一連のサイディング作業において建設会社が担ってきた壁面測定の業務をヤマガタヤが担うことで、壁面測定からサイディング加工(プレカット)、現場施工までを実施することができる多能工システムの構築を目指し、職人の高齢化や減少に対応する。

また、建築塗装全般を手がける竹延(大阪府大阪市)が構築・運営するeラーニングシステムの「技ログ」も選出された。

技ログとは、ベテランの職人の技術を映像化したデジタルコンテンツを、若手の職人がスマートホンなどで簡単に視聴し学ぶことができるようにしたサービス。多能工を育成する専門工事業者や多能工と協業するゼネコンなどに広く活用されるサービスを目指す。建設現場の現場監督についても入職者不足の問題に直面しているが、若手の現場監督も技ログを活用することで、管理する多岐にわたる専門職の工事の概要を簡単に把握することができる。

これからどうなる?
職人不足が深刻化する住宅分野でも多能工化の取り組みが重要に

大規模な建設工事だけでなく、住宅建設においても職人不足問題に歯止めがかからない。国交省が推進する多能工化モデル事業で蓄積したノウハウを活用して、住宅分野においても、職人不足に対応する一つの解として多能工化を進めていくことが重要になっていきそうだ。

Housing Tribune編集部(創樹社)提供