国土強靭化

投稿日 : 2019年12月17日/更新日 : 2023年06月05日


民間分野でも国土強靭化に向けた様々な取り組みが広がる。日本木造住宅耐震補強事業者協同組合が展開する、工務店が防災拠点になる「地域防災ステーションプロジェクト」を展開。2018年、(一社)レジリエンスジャパン推進協議会のジャパンレジリエンスアワード「会長賞」を受賞した

大規模自然災害に備え強くしなやかな国を実現

キーポイント

▶国土強靭化基本計画に基づき予算配分

▶住宅・建築分野は最重要項目の一つ

▶耐震化率の向上、木密地域の解消などを推進

大規模自然災害などに備えた国土の全域にわたる強靭な国づくりを推進することを目的とする国土強靭化基本法が2014年12月に成立した。

東日本大震災では、地震や津波により甚大な被害がもたらされたが、これに対して国は抜本的に災害対策の仕組みを整備していくことにより、災害に負けない“強くてしなやかな”日本をつくっていきたい考えだ。

国は国土強靭化基本法に基づき、「国土強靭化基本計画」と「国土強靭化アクションプラン」を閣議決定した。

国土強靭化基本計画は、国土強靭化政策の基本方針を示したもので、5年ごとに見直しが行われる。アンブレラ計画として、エネルギー基本計画や、社会資本整備充填計画といった国の全ての基本計画の最上位に位置づけられる。そのため各省庁は国土強靭化基本計画に基づいて予算要求を行う。住宅・建設分野については、同計画の最重要項目の一つとされており、住宅・建築物の耐震化率の向上や、住宅の木密地域の解消などを図っていく方針を掲げている。

また、国は、都道府県・市町村による国土強靭化計画の円滑な策定に向けた指針として「国土強靭化計画策定ガイドライン」を策定。地方においても目標の明確化、リスクの特定、脆弱性評価、対応方策の検討、重点化・優先順位づけなど、国の基本計画策定プロセスを踏襲して地域計画を策定し、PDCAサイクルを回しながら効率的・効果的に国土強靭化施策を推進するよう解説している。

2025年までにストックの耐震性を確保

また、「国土強靭化基本計画」の具体的な達成目標を示したものが「国土強靭化アクションプラン」。年度ごとに見直しが行われる。

18年6月に見直された国土強靭化アクションプランでは、住宅・建築物等の耐震化などについて、老朽化マンションの建替え促進を含め、目標達成に向けたきめ細かな施策を推進することを明記。特に住宅耐震化に向けて積極的な取組を行っている地方公共団体を対象とした総合支援メニューを創設し推進する。

18年に91%(参考値)であった住宅耐震化率を、25年までに耐震性が不十分な住宅ストックをおおむね解消することを目指す。

また、大規模地震・火災から人命を保護するため、救助・救急体制の絶対的不足に対処するための取り組みを推進。大規模な火災につながる危険性が高い地域において、火災防御計画の策定等に関するフォローアップを行う。

地震時等に著しく危険な密集市街地の解消面積を17年の2325haから、25年までに5745haにまで拡大する目標を掲げる。

これからどうなる?
住宅高性能化と強靭化を両輪で推進

住宅高性能化の動きに連動して、住宅の強靭性を高めようという動きが加速しそうだ。2019年度にはZEH支援事業において「ZEHを活用したレジリエンス強化事業」が新設された。ZEH+実証事業の要件を満たし、非常用コンセントを主たる居室内に設置することを必須とし、さらに ①蓄電システム ②太陽熱利用システムのいずれか、または両方を実施することを要件に、一戸あたり125万円を上限に補助する。かつ蓄電システム、太陽熱利用システムのいずれかまたは両方を実施するのに必要な掛かり増し費用を定額加算する。

Housing Tribune編集部(創樹社)提供

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。