地方へも地価の回復広がる
スマートタウン
積水化学工業は2019年2月に分譲開始したスマートタウン「あさかリードタウン」(埼玉県朝霞 市・分譲戸建131区画)で、IoTを活用した「スマートタウンマネジメント」に取り組む
IoT導入の次世代まちづくりが進む
キーポイント
▶まちまるごとのエネマネが実現
▶IoT導入でエネマネだけでないサービスも
▶生活データ活用のサービスにも期待
住宅事業者によるスマートハウスの提案が増えるなか、「スマートタウン」に取り組む動きも活発化している。スマートハウスのように住宅単体だけでなく、まち全体でエネルギーマネジメントを行いエネルギー消費量を抑え、低炭素社会を実現しようというものだ。
大規模なスマートの代表例とも言えるのが、パナソニックが中心となって開発している「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)」(神奈川県藤沢市)。住宅約1000戸(戸建住宅約600戸、集合住宅約400戸)、商業施設、健康・福祉・教育施設などを建設する大規模開発事業だ。住宅ではエコキュートや燃料電池、エアコンなどの制御が可能な「スマートHEMS」を標準搭載。太陽光発電システムと蓄電池による「創蓄連携システム」を構築する。全ての戸建住宅においてCO2排出量±0を実現する。まち全体のエネルギー使用やCO2排出、発電などの状況を収集・見える化し、居住者専用のポータルサイトなどに提供する。
スマートタウンマネジメントも
スマートハウスではIoTの導入で、エネマネだけでなく様々なサービスの可能性が模索されているが、スマートタウンでも同様にIoT活用の取り組みが進められている。
例えば、積水化学工業は2019年2月に分譲開始したスマートタウン「あさかリードタウン」(埼玉県朝霞市・分譲戸建131区画)で、IoTを活用した「スマートタウンマネジメント」に取り組む。
IoTベンチャーのSecual(セキュアル)(東京都渋谷区)と共同開発したスマートタウン向け統合サービス「NiSUMU」(ニスム)を導入。IoTデバイスを活用したサービスを提供し、住民の「安全・安心」「利便性」「コミュニティ」に貢献する。「安全・安心」に関するサービスの一つが、まち全体のセキュリティ。朝霞の分譲地ではセンサーカメラを搭載した「スマート街灯」を22本設置し、異常検知できるようにする。例えば、違法駐車や犯罪の防止、子どもの見守りなどに活用したい考え。
また、住戸の窓にセンサーを取り付け、異常があると警備会社に通知が入り、駆け付ける。トイレや冷蔵庫にもセンサーを取り付け住戸内の見守りも行う。
「Fujisawa SST」でもIoTの導入も進めていこうとしており、異業種の事業者とも連携しながら様々な実証を行っている。18年にはNTTドコモと行ったIoT宅配ボックスの実証。NTTドコモがIoT向けに提供する低消費電力・低価格の通信回線を活用したIoT宅配ボックスを、28世帯に設置し有用性を検証した。19年以降の商用化とFujisawa SSTなどでのスマートタウンでの活用を目指している。
これからどうなる?
データ活用した生活サービスで付加価値
IoTを導入することで分譲住宅地全体と各戸の生活データを収集できるようになるが、そのデータを活用することで新たなサービスを生み出せる可能性がある。例えば、生活者個人のライフスタイルやライフステージに合わせて、設備や家電の機能を更新することで、暮らしをアップデートできる。また、自動運転技術も活用することで、高齢者などの交通弱者の課題を解決するオンデマンドバスなどの新たな交通手段を分譲地内に導入することも可能になるだろう。
Housing Tribune編集部(創樹社)提供
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