消費税増税後の購買意欲を刺激
SDGs
世界の持続可能な成長に向けた旗印
キーポイント
▶途上国、先進国の区別なく環境、社会問題を解決
▶企業にも環境や社会的な配慮が必須に
▶建築・住宅産業向けのSDGs対応ガイドラインも
国連は2015年、世界のすべての国々を対象として政府間合意に至った「SDGs」(サステナブルディベロップメントゴールズ=持続可能な開発目標)を、「MDGs」(ミレニアムディベロップメントゴールズ=ミレニアム開発目標)から引き継ぐ形で公表した。MDGsでは、開発途上国の貧困と飢餓の撲滅、幼児死亡率の削減、初等教育の普及といった8つの目標を掲げ、15年までの期限付きのゴールを設定していた。ただ、このMDGsには、途上国の問題を先進国が解決していくという上からの目線のものであるという指摘があり、また、先進国にも様々な環境、社会の課題がある。
そこで、新たに設定されたSDGsでは、30年を期限として、途上国、先進国の区別なく、あらゆる国の環境、社会問題を解決し、世界の持続的な成長を目指していこうというフレームワークに変わった。17の目標を掲げ、中には、持続可能な消費と生産のパターンを確保するといった目標が盛り込まれている。国連が公表したSDGsに関するレポートによると17年時点で、営利セクターの8割以上の企業などが、SDGsで掲げる環境、社会課題の解消に取り組むか、意識するようになってきていると報告。日本の上場企業のなかにも、SDGsを認識し、取り組みを進める企業が増えている。
建築・住宅産業においてSDGsに対する関心、注目が高まっているが、「どのように取り組めば良いのかわからない」という声もある。そこで、(一財)日本建築センターは19年2月、「建築産業にとってのSDGs – 導入のためのガイドライン – 」をまとめた。一般建築産業、住宅産業、不動産業がSDGsをそれぞれの企業の問題に落とし込んで考えるための方策を提示している。
(一財)日本建築センターがまとめた 「建築産業にとってのSDGs―導入のためのガイドライン―」
営利追及から環境や社会への貢献が評価される時代に
近年、資本市場では、「ESG」という言葉も注目を集めている。環境(Emviropment)、社会(Social)、企業統治(Governance)のことで、国連は06年、投資家に対して、企業の環境や社会に対する取り組みや、その貢献度、インパクトなども考慮しながら投資を行うことを呼び掛けた。近年、ESGに注目して投資したほうが、経済的リターンが大きいケースがあることが分かってきたため、純粋に財務的リターンだけを重視していた投資家たちも、ESG投資に関心を向け始めている。
さらに、先進的なグローバル企業が、本業で環境や社会に対してプラスの価値を生みつつ、それにより他社が得られない利益を上乗せして得ようという戦略「CSV(クリエイティング シェアド バリュー=共通価値の創造)」を新たな経営モデルとして導入し始めている。
これからどうなる?
インパクトのある貢献が他社が真似できない強みとなり競争優位に
SDGsへの社会的な関心が強まる中で建築・住宅産業においても、取り組む事業者が増えていくだろう。ではどのような取り組みが必要なのか。一橋大学大学院の名和高司特任教授は、「多くの企業が衣食住の何らかの社会価値を生み出していると言えるが、どの企業も横並びで同じようなことをやっていても社会に大きなプラスのインパクトを与えることはできない。(より高いレベルでのSDGsの実現が求められる)CSV企業には、これまでの世の中にないようなイノベーションを起こしていくことが求められる。十分な利益を確保しながら、環境や社会に対してもインパクトのある貢献をすることは生易しいことではないが、茨の道だからこそ、歩むほどに他が簡単には真似のできない強みとなり、競争優位につながる」と指摘する。
Housing Tribune編集部(創樹社)提供
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