リバースモーゲージ

投稿日 : 2020年01月08日/更新日 : 2023年06月06日

自宅を担保に住み替え、老後資金などを調達

キーポイント

▶住宅を担保にして老後の生活資金などを貸し付けるローン

▶日本でも取り組みが活発化

▶担保割れリスクの解消が本格普及のキー

リバースモーゲージとは、自宅とその敷地を担保にして金融機関などからお金を借りることができる金融商品のこと。毎月の支払いは利息のみで、契約満期または契約者死亡時に元金を一括返済する。現金で返済できない場合は、自宅とその敷地を売却して返済に充てる。持ち家はあっても年金収入が少なく手元資金が少ない場合の資金調達方法として利点が大きい。老後の生活費や高齢者施設への入居費用などの様々な使途に活用できる。

一方、リバースモーゲージには「長生き」「担保不動産価値下落」「金利上昇」などによる担保割れリスクがあり、金融機関がその取り扱いに二の足を踏む大きな理由となっていた。また、日本で提供されているリバースモーゲージの多くは、一括返済時に担保割れした場合に担保以外の返済義務が生じない「ノンリコース型」ではなく、担保以外の財産を含めて返済しなければいけない「リコース型」であるということも普及を妨げている。リコース型だと親世帯が債務を返済仕切れなかった場合に、子世帯にその債務の返済義務が及ぶ可能性もある。

加えて、地方では首都圏よりも担保評価額が低いということも普及が遅れている理由のひとつ。日本では建物の価値は約20年でゼロになるので、リバースモーゲージの担保評価は実質的には土地を対象とするが、地方では土地の担保評価額が特に低くなってしまう。このため、リバースモーゲージの提供にメリットを見いだしづらい金融機関も多かった。

(独)住宅金融支援機構の住宅融資保険付きリバースモーゲージ型住宅ローン「リ・ バース60」は、担保割れ保証やノンリコース型の登場などから、取扱い金融機関と利用者数が急増

新提案進み本格普及の兆し

だが、ここにきて、こうしたリスクの解消を図る提案や使いやすくする提案が進み、地方でもリバースモーゲージの取扱いを開始する金融機関が増加、利用が拡大してきている。

例えば、(独)住宅金融支援機構では、一括返済時の担保割れを保証する住宅融資保険付きリバースモーゲージ型住宅ローン「リ・バース60」を全国の金融機関を通じて提供しているが、2017年度の取扱い金融機関が前年度比約1.7倍、利用者数は4倍超に急拡大した。取り扱い金融機関については、なかでも地方の銀行での採用が増加しているという。

一方で、リバースモーゲージでノウハウを持つ金融機関や不動産事業者が、地方の金融機関と提携を結び、担保割れ時の保証サービスの提供などを行う動きが加速。例えば、ハウスドゥはグループ会社のフィナンシャルドゥを通じて同サービスの提案に力を入れている。

こうした取り組みを受けて、地方の金融機関が新たにリバースモーゲージの提供を開始する動きが活発化してきた。

これからどうなる?
担保割れ保証の仕組み導入で普及へ

これまで、リバースモーゲージの普及が進まなかった大きな要因は、「長生き」「担保不動産価値下落」「金利上昇」などによる担保割れリスク。しかし、リスクの解消を図る担保割れ保証の提案が進んできたことで、新たに取り扱いを開始する金融機関が増えている。ハウスドゥは2017年にリバースモーゲージの保証事業を開始し、2019年5月時点で、8の金融機関まで提携を広げている。保証サービスのニーズは高いだけに、リバースモーゲージの本格普及を後押ししそうだ。

Housing Tribune編集部(創樹社)提供

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。