中古住宅・リフォームトータルプラン

投稿日 : 2019年12月18日/更新日 : 2023年06月05日

ストック市場の拡大に向けた方向性、目標を設定

キーポイント

▶国土交通省がストック市場拡大を目的に策定

▶既存住宅流通・リフォーム市場倍増を打ち出す

▶環境整備を総合的に展開

住宅政策が本格的にストック市場を意識したものへと舵を切る中、2012年に国土交通省がまとめた計画が「中古住宅・リフォームトータルプラン」である。10年に閣議決定された「新成長戦略」で示された「中古住宅・リフォーム市場の倍増」に向け、新築中心の住宅市場から、リフォームにより住宅ストックの品質・性能を高め、中古住宅流通により循環利用されるストック型の住宅市場への転換を図ることが目的だ。20年(16年策定の住生活基本計画で25年に変更)までに既存住宅流通・リフォーム市場の規模を倍増し、20兆円市場を目指すことを打ち出した。

同プランでは、市場規模拡大のための取り組みとして「中古住宅流通を促す市場の環境整備」、「リフォーム市場の環境整備」、「既存住宅ストックの質の向上」、「中古住宅流通・リフォームの担い手の強化」、「住環境・街並みの整備」という5項目を示した。

例えば、既存住宅の品質を確保するためホームインスペクションの普及促進を図るとともに、住宅の性能評価・表示の充実・普及促進を図るとしている。また、消費者が安心して既存住宅を購入できるよう既存住宅売買瑕疵保険の充実・普及促進を図る。リフォーム工事の質の確保とトラブルを防止するため、リフォーム瑕疵保険の充実・普及促進も図る。

“市場倍増”を目指しさまざまな施策を打ち出す

同プラン策定後、国土交通省はプランに基づいた施策を着実に実行してきた。

13年にインスペクションガイドラインを策定、14年には既存住宅の建物評価の基準を築年数ではなく「使用価値」に置くことを示した「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を策定した。

また、16年には既存住宅を対象とした長期優良住宅認定制度を、17年には「安心R住宅」の制度をスタートさせるなど、取り組みを活発化させている。

ただ、17年度のリフォーム市場は13年比で8.3%減少(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)するなど順調な拡大とは言い難い。さらなる市場活性化が求められる。

これからどうなる?
環境整備が進むか市場拡大に期待

新築市場が縮小するなか住宅産業界においてもストック市場での事業拡大への取り組みが進んでいるが、急激な拡大には結び付いていないのが現実だ。

野村総合研究所では2025年のリフォーム市場を6兆円と見込むなど国が掲げる“倍増”には及ばない。しかし、法制度の整備や支援制度の充実だけでなく、生活者のニーズも新築へのこだわりが徐々に薄れてきていることなどもあり、今後の市場拡大に期待がかかる。

Housing Tribune編集部(創樹社)提供

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。