リノベーション

投稿日 : 2019年12月18日/更新日 : 2023年06月06日


今後は戸建て住宅の買取再販の拡大がリノベーション事業拡大のカギを握りそうだ。写真はリビタが既存住宅を買取再販した東京都練馬区の石神井台の家

一棟リノベーションで新たな付加価値を生み出す

キーポイント

▶新築でも既存住宅でもない第三の選択肢として人気が高まる

▶一棟リノベーション事業への参入が増えている

▶戸建ての開拓が市場拡大のカギ

リノベーションに関する明確な定義はないが、一般的には、設備機器の刷新や間取りの変更も含めたリフォームより大がかりな改修工事を指す。事業者が既存住宅を買い取り、リノベーションを行ったうえで販売する住宅については「買取再販住宅」という。

リノベーションを施すことで、既存住宅でありながら新築同様の居住性を得ることができるとして、市場での評価も高まっており、住宅市場全体での存在感も強まっている。一次取得者層である若者の世帯年収が減少し、新築を建てることが難しくなってきているなかで、価格を抑えて新築同様の居住性をえられるメリットは大きい。

こうしたなか、リノベーション住宅市場の成熟化を図るために、09年7月には、(一社)リノベーション住宅推進協議会(18年にリノベーション協議会に改称)も誕生している。同協議会では、一定の建物検査や工事を行い、その状況を協議会に報告し、さらには指定2年間の保証期間を設けたものを「適合リノベーション住宅」として認定している。また、対象物件の住宅履歴については、協議会のデータベースに蓄積し、ID番号を付与する。

一棟リノベの需要高まる、大手デベなども参入

マンションのリノベーションについては、戸単位で行うものの他に、1棟まるごと買い取り共有部も含めて改修し再販する「一棟リノベーション」がある。一棟リノベーションでは、共有部分の改修も行うため、外観や共有設備なども含めてより新築に近いかたちで回収できる。このため、リノベーション事業者は独自の付加価値を創出できるものとして、一棟リノベーション事業に力を入れている。これまでは、リビタやインテリックスといったリノベーション事業者が中心となり、一棟リノベーションの拡大を図ってきたが、ここにきて大手マンションデベロッパーでも一棟リノベーション事業に乗り出す事業者が増えてきている。

大京は「グランディーノ」、東急不動産は「マジェス」、三菱地所レジデンスは「ザ・パークリモア」という専用のブランドを掲げて事業を開始している。首都圏で新築マンション用地の取得競争が激しくなってきており、デベロッパーは新築分譲マンションの供給が難しくなっている状況。一方で、今後、バブル前後に大量供給したOB顧客の住戸が修繕時期を迎えることが予測される。それだけに、今後、一棟リノベーションが新築の供給減を埋める役割を果たしていきそうだ。

これからどうなる?
戸建の買取再販の需要開拓が今後リノベ市場拡大のカギ

買取再販のリノベーション住宅については、現状では主な対象はマンションであり、戸建てについては普及が遅れているというのが実情だ。しかし、ここにきて、リノベーション事業者のリビタが東京の戸建て住宅の買取再販事業に積極的に取り組み、大京も参入している。戸建て住宅の空き家が増えているだけに、戸建ての買取再販をいかに拡大していけるかがリノベーション事業拡大のカギを握りそうだ。

Housing Tribune編集部(創樹社)提供

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。