リフォーム事業者団体登録制度

投稿日 : 2019年12月19日/更新日 : 2023年06月05日

制度のスキーム

出典:国土交通省

優良なリフォーム事業者を見える化

キーポイント

▶事業者によって、リフォームの品質や営業・方法にばらつき

▶国土交通省が優良リフォーム団体登録制度

▶消費者に分かりやすく情報提供

我が国では、500万円未満のリフォーム工事の場合、建設業の許可は不要であり参入障壁が低いことから、様々な事業者がリフォーム市場に進出している。だが、それだけに事業者によって施工品質や顧客への営業・対応方法にばらつきがあるという課題がある。こうした課題に対し、リフォーム事業者団体のなかには、会員を対象に資格制度や技術認定制度を設け、リフォーム事業者の質を担保しようとしているところもある。

そこで、14年9月、国はそうした事業者団体を登録する「住宅リフォーム事業者団体の登録制度」を創設。登録事業者団体のリフォーム事業者であれば安心だというお墨付きを与えることにより、消費者が安心してリフォーム事業者を選べる仕組みを構築しようとしている。

登録の対象になるには、設立・組織・運営・管理等が法令により定められていなくてはいけない。リフォーム事業者である構成員が2つ以上の都道府県にわたって100社以上加入しているなど一定の規模も満たす必要がある。

また、事業者団体の活動として、リフォーム技術の向上や消費者保護のための研修を定期的に行うなど、構成員を対象とした人材育成のための体制を有していなくてはいけない。消費者が相談できる窓口を設置していることや、消費者への情報提供を行っていることも登録の要件となる。構成員であるリフォーム事業者に対しては、実施する工事内容に応じて、必要な知識や技術を有し、住宅リフォーム事業を適正に行えることを求めている。具体的には建設業許可を持っているか、または常勤の建築士、建築施工管理技士といった資格者が在籍していることなどが要件となる。

事業者の人材育成でリフォームの質の向上へ

リフォーム事業者団体登録制度では、登録団体に対して、「人材育成計画」に基づいた人材育成を行うことを求めており、各登録団体は様々な取り組みを実施している。例えば、(一社)日本塗装工業会は九州から北海道まで全国で住宅リフォーム事業の人材育成の研修会を実施。(一社)全建総連リフォーム協会はリフォーム工事のマナーや、住宅リフォーム工事のレベルアップにつながる講習(増改築相談員研修、既存住宅現況検査員講習)を実施している。こうした取り組みが進めば、リフォーム事業者団体登録制度が安心なリフォーム市場の環境整備だけでなく、リフォーム事業者のさらなる質の向上につながることにも期待が持てそうだ。

これからどうなる?
徐々に登録が進み、安心できるリフォーム市場が構築

「リフォーム事業者団体登録制度」の登録団体は、2019年2月現在で14団体と徐々に増えてきている。登録団体のジャンルもマンション修繕、木造住宅の耐震化推進、塗装業界など幅が広がってきている。リフォームに携わる事業者の種類は多岐にわたるだけに、今後も様々な団体が登録していけば、安心なリフォーム市場の環境整備が進んでいきそうだ。

Housing Tribune編集部(創樹社)提供

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。