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宅地建物取引業法
インスペクションの説明義務化の概要

出典:国土交通省
インスペクションの本格普及へ
キーポイント
▶インスペクションの説明を義務付け
▶技術者育成、3万2000人が受講修了
▶メリット見えにくく8割超が実績なし
売主、買主が安心して不動産取引ができるよう、宅建業者に専門家によるインスペクション(建物状況調査)の活用を促すことを柱に改正した宅地建物取引業法(宅建業法)が2018年4月に施行された。
目玉はインスペクションの説明義務化だ。そして、このインスペクションの結果を活用した既存住宅売買瑕疵保険への加入を促し、消費者が安心して既存住宅の取引がきる環境整備をすることを狙うのである。
インスペクションは3つのタイミングで用意されている。まずは、「媒介契約締結時」だ。媒介依頼者に対して宅建業者がインスペクションをするかどうか、事業者あっせんの有無を確認する。「そんな制度あったの?知らなかった…」。そうならないために実施する。制度そのものを説明するわけだ。そして、依頼者がインスペクションを望む場合、宅建業者は検査事業者をあっせんすることが義務付けられている。
次は「重要事項説明時」である。宅建業者は買主に対して、インスペクション実施の有無や、行われた場合は結果を説明しなければならない。その際に対象となるインスペクションは、後に加入が想定される既存住宅売買瑕疵保険のインスペクションの対象部位(基礎、壁、柱など)・方法と同じである。そして最後は、売買契約締結時に売主、買主双方が調査結果などを確認。建物の瑕疵をめぐった引き渡し後のトラブルを防ぐため、確認した内容については書面での交付が必要となっている。
重要事項説明書に記載するインスペクションは実施から1年以内だ。ただし、劣化事象が確認され、取引の判断に重要な影響を及ぼす恐れのあるインスペクションの結果については、1年を超えていても買主に説明する必要がある。また、1年以内のインスペクションであったとしても、大規模な自然災害などで建物の現況が異なる可能性がある場合も重要事項説明の対象となる。
技術者の地道な育成、講習修了者は3万人超
インスペクションは「既存住宅状況調査技術者講習」を修了した建築士が行う。講習団体は5つの機関が登録(2018年12月末時点)。これまでに約3万2000人が講習を修了している。既存住宅状況調査技術者による構造・防水に関する調査内容・方法などは国土交通大臣の告示に定められている。
これからどうなる?
実施ゼロ8割に上る、メリットを見せる工夫が必要
国土交通省が、宅建業免許を持つ事業者を対象に施行半年後の実施状況を調査したところ、2018年9月までで5932件と2017年度(5892件)を既に上回った。年間では2倍の1万2094件と推計される。ただ、インスペクションの件数が増えた事業者は全体の13.4%。8割以上の事業者が「実績なし」となり、事業者間で、インスペクションへの対応に温度差があることが浮き彫りになった。実績なしと答えた事業者で最も多かった理由は「建物状況調査の依頼が見込めない」で59%。こうした課題解消に向けた地道な取組みが今後求められる。
Housing Tribune編集部(創樹社)提供
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