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地価公示
地方へも地価の回復広がる
キーポイント
▶地方の住宅地でも27年ぶりに値上がり
▶地価の上昇は日本全国へ着実に波及
▶外国人旅行客の増加などが地価を押し上げ
国土交通省が公表した2019年の公示地価によると、住宅地の地価は全国平均で前年同期比0.6%上昇となり、上昇幅も昨年より拡大した。
三大都市圏ではこれまでの上昇基調を一層強め、東京圏は同1.3%上昇、大阪圏は同0.3%増、名古屋圏は1.2%増と、東京と名古屋圏が好調さを継続させている。
一方で、地方圏の住宅地の地価の変動率は同0.2%と92年以来27年ぶりに上昇に転じた。
これまで地方中核4市(札幌・仙台・広島・福岡)は、すでに上昇に転じていたが、19年の調査で、地方中核4市とそれ以外の地方都市を合わせた「地方圏」の平均でも上昇している。
地価の上昇が日本全国へ着実に波及してきた。
地方の上昇率トップ10 沖縄と北海道が占める
地方圏の住宅地が値上がりしている理由の一つは、国内外からの観光需要の高まりだ。旅行客の増加で商業地だけでなく住宅地へも地価の上昇が波及している。
地方圏の住宅地の上昇率で最も高い地点を見てみると、トップ10を観光地として名高い沖縄県と北海道のまちが占めている。
トップ10地点のうち7地点を占めるのは沖縄県だ。なかでも那覇市全体では住宅地の地価の値上がりが激しく前年対比12%も上昇している。
観光客の流入などで活気付き、那覇市中心部では再開発が行われ、マンション、戸建住宅ともに住宅需要が高まっている。また、沖縄都市モノレール(ゆいレール)の延伸(19年夏頃を予定)により利便性の向上が期待される地域をはじめ、周辺部においても住宅需要が堅調であり、上昇幅が拡大している。
また、北海道の倶知安は、近年、外国人スキー・スノーボードの観光需要が高まるニセコエリアのまち。観光客の増加でリゾート施設従業員・建設作業員の宿舎需要が旺盛で、外国人による別荘地の需要も見られることから、住宅地の地価が上昇している。
スノーリゾートの住宅地の地下上昇は他でも見られ、長野県白馬村の住宅地では、前年比10.5%上昇の地点もある。外国人観光客が増加していることから、別荘やホテル需要が強まり、地価が上昇している。
また、観光地という点では、京都市がその筆頭に挙げられるが、市全体の地価の上昇率は前年比3%と、地方圏の都市では高くなっている。
国は観光立国の推進により、20年に訪日外国人旅行者4000万人の目標を掲げる。観光が地方創生の推進役となりつつあることが、地価の動きからも読み取れる。
これからどうなる?
エリマネなど、付加価値向上が鍵
2019年時点で、日本の地価上昇をけん引しているのは東京である。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、再開発が活発化していることなどが要因だ。一方で、2020年以降に不動産市況が停滞し、地価が下がるのではないかとの懸念もあり、先行きは不透明。それだけに、今後はマンションなどでは一層付加価値を創出し、需要を喚起する取り組みが求められるだろう。例えば、野村不動産や東急不動産などはエリアマネジメントを導入し始めている。
Housing Tribune編集部(創樹社)提供
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