公共建築物等木材利用促進法

投稿日 : 2019年12月14日

公共建築の木造・木質化で国産材活用を推進

キーポイント

▶利用期を迎える国産材を有効活用

▶低層の公共建築を原則すべて木造化

▶施行から10年で公共分野では木材活用が根付く

 
近年、日本の森林資源はかつてないほど充実してきている。戦後造成した人工林が本格的な利用期を迎えているためだ。現在、日本の全森林資源は約49億㎥。さらに毎年、約8000万㎥のペースで増えている。こうした中で、国産材を有効活用しようという国の施策が充実してきている。

とくに国産材の需要先として注目度が高まってきているのが中大規模木造建築だ。地球温暖化の防止や循環型社会の形成を進めていくうえでも有効な手段となる。さらに木材利用は低迷する林業をはじめ、地域産業への波及効果も見込める。

こうした中で、国が率先して木材利用を促進しようと、2010年10月に施行した法律が「公共建築物等における木材利用の促進に関する法律」(公共建築物等木材利用促進法)である。

公共建築物等木材利用促進法では、3階建て程度の低層の公共建築物について、原則としてすべて木造化を図ることを定めた。これは国が公共建築物に対する考え方を大きく転換したことを意味する。同法では、木造率が低く、今後の需要が期待できる公共建築物にターゲットを絞り、庁舎や学校、病院、老人ホーム、保育園といった社会福祉施設や、地方公共団体が整備する公営住宅などをその対象とした。

また、内装材などへの木材の積極的な活用も促す。

木造率の推移


出典:林野庁

施行から9年目で木造化率は初の6割超

公共建築物等木材利用促進法を一つのきっかけに、公共建築の木造化が進む。

農林水産省と国土交通省がまとめたデータによると、2017年度に国が整備した公共建築(127棟)のうち、木造化を図った3階建て以下の低層物件(47棟)の割合を示す木造化率が63.0%となり初めて60%を上回った。

公共建築物等木材利用促進法の施行から10年を迎えようとするなかで、公共建築においては、着実に木造化する動きが根付いてきているといえるだろう。

ただ、比較的小規模な物件が多かったことと、内装木質化の物件が前年度比9.5%減の171棟と減少したことなどが影響して木材使用量は、14.9%減の3139㎥と伸び悩んだ。

これからどうなる?
民間分野での普及が木材活用が根付くかの指標に

今後、公共建築木造化の波が、民間分野にまで波及していくかが、公共建築物木材利用促進法の本来の目的である国産材活用が一時的なブームではなく根付いていくかの指標となる。林野庁が建築着工統計調査(国土交通省)をもとに算出した2017年度に着工された建築物の木造率(床面積ベース)の推移をみると、建築物全体では41.9%、そのうち公共建築が13.4%、そのうち低層の公共建築物が27.2%。2010年と比較するとそれぞれ、1.3ポイント減、5.1ポイント増、9.3ポイント増となった。今後、経済的にシビアな判断が下される民間分野で、中大規模木造が普及し、広く国内の産業を支えていくという状況が生まれて、初めて木材活用が根付いたと言えるだろう。

 
Housing Tribune編集部(創樹社)提供