ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)

投稿日 : 2019年12月27日/更新日 : 2023年06月05日


出典:(一社)環境共創イニシアチブ

スタンダード化が進むゼロエネの住まい

キーポイント

▶省エネ・創エネで年間のエネルギー消費量をゼロに

▶2020年までに新築注文住宅の半数以上が目標

▶手厚い支援策を追い風に普及・拡大が続く

「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」(ZEH)とは、年間の一次エネルギー消費量を収支ゼロ(ネットゼロ)、またはおおむねゼロにする住宅。断熱・気密性能に優れる外皮と省エネ設備によりエネルギー消費量を減らしたうえで、太陽光発電システムなどの創エネ設備により住宅で使用するエネルギーをすべて賄えるようにした住宅である。

住宅の省エネ化が強く求められるなか、国は「2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建住宅の半数以上で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」という目標を打ち出し、経済産業省、環境省、国土交通省が連携し、支援事業などを通じてZEHの普及・拡大に取り組んでいる。

具体的には、戸建住宅についてはZEH+、ZEH、Nearly ZEH+、Nearly ZEH、ZEH Orientedについて補助を行う。集合住宅についても低層から超高層まで支援制度が用意されている。

2017年度のZEH実績は25%増の4万4064戸

こうした支援制度を背景に、大手ハウスメーカーや一部の地域ビルダーでZEHへの取り組みが加速している。

(一社)プレハブ建築協会は環境行動計画「エコアクション2020」において戸建住宅ZEH供給率の2020年目標を、国の目標を大きく上回る70.0%に設定している。17年度の実績は37.1%であり、前年度比11.7ポイント増と大きく伸ばした。ZEH対応の商品ラインナップの充実がその増加につながっている。これにともない強化外皮性能を満たす住宅も48.1%(同6.0ポイント増)と大幅に増加した。

全体でみても着実に普及が進む。(一社)環境共創イニシアチブによると、17年度のZEHシリーズの年間実績は4万4064戸と同24.7%増、新設住宅着工戸数に占める割合も10.5%と同2.2ポイント増加した。そのほとんどを注文住宅(持家)が占めており、そのシェアは15.3%に高まっている。

地球温暖化対策計画では30年度に13年度比で26%のCO2排出量削減という中期目標を掲げている。この目標を達成するために家庭部門に求められている削減量は同39.3%減だ。一方で、生活者の環境問題、エネルギー問題に対する意識も高まっている。

これらに応えていくためにも、ZEHをはじめとする住宅の省エネ化への取り組みをより加速させていく必要があるといえる。

これからどうなる?
コストを超えた魅力の訴求が不可欠に

普及が進む一方で、ZEH実績がゼロのビルダーなどからは「顧客の予算」、「顧客の理解を引き出すことができなかった」など、イニシャルコストの増加が一つの壁になっているとの声が聞こえる。

今後、ゼロエネによるコストメリットだけでなく、健康や資産価値の維持などの魅力をどのように訴えていくかが普及のポイントと言えそうだ。

Housing Tribune編集部(創樹社)提供

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。