中大規模木造建築

投稿日 : 2020年01月05日


木造建築分野で豊富な実績を持つ東急建設は、2019年2月、中大規模木造市場への本格参入を表明。写真は、東急池上線の「戸越銀座」駅

国産材の需要先、戸建てに代わる新市場

キーポイント

▶建てやすくするための技術・部材開発が加速

▶防耐火に関する課題も徐々に解消

▶一般流通材を活用してオープンな形で普及

利用期を迎える国産材の需要先として、さらに、新築戸建て住宅に代わる新たな市場として中大規模木造建築への注目度が高まり、中大規模木造を建てやすくするための技術・部材提案が相次いでいる。

日本合板工業組合連合会は、内容を大幅に拡充した「中層・大規模木造建築物への合板利用マニュアル」を整備し、中大規模木造に取り組み事業者へ活用を促す。同マニュアルでは、簡単に構造計算を行えるように、構造用合板を壁・床・屋根に使用した場合の様々な仕様の耐力を明示した。

日本集成材工業協同組合では、中大規模木造市場の開拓に向け、特注生産が必要な大断面集成材の規格化に取り組む。近年、施工の手間とコストを抑制する目的で、一般流通材を用いて中大規模木造を実現しようという気運が高まっているが、特注生産が必要な大断面集成材に対して向かい風が吹いていることは否めない。そこで2018年4月、樹種、サイズ、強度を限定して大断面集成材の規格化に踏み切った。従来、規格化された大断面集成材に対応した接合部の標準化も進め、一般流通材と同じように、使いやすい部材として利用拡大を目指す。

さらに、軸組工法、2×4工法を問わず、これまでの住宅建設の延長線上の技術で、4階建ての木造建築を実現するシステムをつくり、提案する事業者も増えている。住宅用流通材などを組み合わせて、壁倍率10~15倍相当の高耐力壁を開発し、普及を目指す。住宅用流通材を用いて木造建築を建てることで、建設コストも抑制できる。特に2×4工法は、規格化が進み、RC造やS造など他工法に比べて価格的にも競争力が高まってきている。

耐火構造が普及、都市で4階建木造ビル増加

防耐火に関する課題も徐々に解消に向かいつつある。(一社)日本木造住宅産業協会や(一社)日本ツーバイフォー建築協会などの業界団体が、それぞれ1時間耐火構造の大臣認定を取得したことで耐火構造の普及が進む。それぞれの協会などが取得した1時間耐火構造の利用が増えてきていることもあり、国土交通省は、軸組工法とツーバイフォー工法の1時間耐火構造の告示化を進めている。1時間耐火構造とすることで4階建てまで、都市部でも木造化を図れる。

これまでは1時間耐火の建築物というと、都市部の戸建住宅が多かったが、木造建築への注目度が高まる中で、これからは事務所ビルなどの4階建ての木造建築が街中で増えていくことが期待されている。

これからどうなる?
改正建築基準法が施行防耐火規制の合理化で広がる選択肢

2019年6月に、「木造建築物等に係わる制限の合理化」が柱の一つとして位置づけられている改正建築基準法が施行される。今回の法改正では、要求性能を明確にして、耐火建築物と同等の性能を持つ、準耐火構造などの建築物を設計できるようにする。細かな防火区画や、消防力も評価し、倒壊を抑制するなどした準耐火構造の建物や、既存の45分、60分準耐火構造を上回る1時間超の準耐火構造などが新たに設定される予定だ。建築基準法の改正により木造建築の分野では性能規定化が進み、設計の選択肢が増える。住宅事業者などには、様々な選択肢を把握し、比較した上でどのようなメリットがあるのか、選択する力がこれまで以上に求められることになりそうだ。

Housing Tribune編集部(創樹社)提供