設計評価書の交付件数の推移
IoT・AI住宅
大和ハウス工業が推進するスマートウェルネスシティ
人口減少、超高齢化社会に新たな展開を切り拓く
キーポイント
▶賃貸住宅の差別化にスマートロック
▶音声だけで住まい方の行動広がる
▶標準搭載で戸建販売展開の動きも
住宅へのIoTやAIの導入が広がっている。総務省によると、IoTやAI導入による我が国の実質GDPの押し上げ効果は2030年で132兆円。人口減少や超高齢社会の到来で、新設住宅着工戸数のV字回復の見込めない住宅業界にとって、この先端技術の活用は新たな展開を切り拓くうえで重要なワードであることは間違いにない。
住宅分野でのIoTとの接点は、まずは鍵だ。スマートフォンなどで解錠・施錠できる電子キー「スマートロック」を使い、遠隔でも開閉可能に。賃貸住宅の供給が飽和状態に陥っている首都圏の賃貸住宅などで、付加価値の1つとして取り入れる動きが相次いでいる。
また、スマートフォンやタブレットでの操作もできる、IoTに対応した住宅建材設備や家電も多数登場している。
AIを搭載したスマートスピーカーが普及するなど生活に、IoTやAIが徐々に浸透してきている。
住宅の便利さから居住者の健康確認へ
こうした流れを踏まえ、住宅メーカーも本気で動き出した。18年、パナソニック ホームズが販売した戸建住宅「カサートアーバン」は、パナソニックが開発したIoTプラットフォーム「HomeX」を標準搭載。「HomeX」は、住まい手の暮らしの状態や困りごとを瞬時に判断し、1人1人に合わせて自動的に快適な住空間の提供や生活提案を行う。
大和ハウス工業は、IoTとAIを使い健康促進につなげるスマートウェルネスシティを構築。分譲地内の体力認知機能を測定する装置で健康状態を把握し、推奨トレーニングを提案している。ソニーネットワークコミュニケーションズが提供するパーソナルヘルスプロモーションサービス「FAIT(ファイト)」を分譲地で導入。分譲地内に併設される、タブレットと専用のスポーツセンサーを活用した体力認知機能を測定する「FAITステーション」で、住民の好みのタイミングで使用しながら、いまの自分の機能状態が確認できるという流れだ。日常の活動は、玄関ドアの鍵などにもなるウェアラブルデバイス「FAITタグ」で管理。毎日の食事や睡眠、運動を記録する。
積水ハウスは「プラットフォームハウス」構想を打ち出している。IoT機器やセンサーを設置し住環境・住生活データを取得しながら、科学的に幸せな家の実現に向けて取り組む。例えば寝室にIoT機器やセンサーを設置することで就寝中に居住者の心身の状態を把握。万一、1人でいる時に室内で倒れてもセンサーが反応し、早期治療・治癒の可能性を高める。
これからどうなる?
消費者は冷静な反応、先端技術だけに目を奪われるな
(公社)全国宅地建物取引業協会連合会と(公社)全国宅地建物取引業保証協会が実施した調査で、こうした先端技術を使った住宅の主流になる時期として最も多かったのは10年後だった。20年後も1割以上あり、「主流にならない」も4分の1あった。これが現状の消費者の姿だ。先端技術に目を奪われ、消費者の家に対する想いを二の次にしてしまったら本末転倒だ。住生活産業にかかわる人の住まい方への目線が問われる時代になるだろう。
Housing Tribune編集部(創樹社)提供
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