住宅トップランナー制度

投稿日 : 2019年12月20日/更新日 : 2023年06月05日

トップランナー基準への適合率の推移

出典:国土交通省

建売戸建住宅の省エネ性能向上を促進

キーポイント

▶年間150戸以上の販売事業者が対象

▶エネルギー消費性能基準より高いレベル

▶既に新基準でも4割超の事業者クリア

住宅事業建築主に対して、供給する建売戸建住宅に関する省エネ性能基準(住宅トップランナー基準)を定めて、省エネ性能の向上を誘導する制度。断熱性能の確保や高効率な設備機器の導入などにより、一層の省エネ性能の向上を誘導する。

年間150戸以上の建売戸建住宅を販売する事業者に対して求めており、基準に適合しない場合は必要に応じて大臣が勧告・公表・命令などを行う。

もともと住宅トップランナー制度は「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」に基づく家電トップランナー制度などを参考にしながら、高い省エネ性能を有する新築住宅の供給を促進するための方策の1つとして、2008年の法改正で導入されたもの。

現在は「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」に引き継がれている。

制度創設時の目標年度は13年度だった。

この時は平成20年標準住宅(平成11年省エネ基準の外皮に、平成20年時点における標準設備を導入した住宅)の一次エネルギー消費量に比べ10%の削減を求めた。結果的に、大手の住宅事業建築主が供給する分譲戸建住宅のうちトップランナー基準に適合している割合は9割を超え、分譲戸建住宅全体の省エネ性能向上に大きく寄与した。

17年度から新たな目標年度と水準を設定しスタート。新たな住宅トップランナー基準では、次期目標年度を20年に設定した。水準については、一次エネルギー消費量を平成20年標準住宅に比べて概ね20%削減とした。現行のエネルギー消費性能基準と比べると15%削減というレベルになり、大幅に強化されることになる。事業者は20年度までに新水準を満たす必要がある。

ただし、19年度までは現行と同水準(平成28年一次エネルギー消費量基準に比べて10%削減)であってもよいこととなっている。

既に新基準を概ね満たしている事業者も、14年度で約42%(45社中19社)に上る。

注文戸建住宅・賃貸アパートも対象に

これまでは年間150戸以上の建売戸建住宅を販売する事業者だけが対象だった住宅トップランナー制度。

今後は建築物省エネ法の改正により注文戸建住宅・賃貸アパートを供給する大手住宅事業者も対象となるので注意が必要だ。

これからどうなる?
注文戸建・賃貸アパートも対象に 自発的な取組みにインセンティブを

新たに注文戸建住宅・賃貸アパートを供給する大手住宅事業者が住宅トップランナー制度の対象となる意味は大きい。大手の住宅事業建築主と同様に、断熱材・窓など省エネ性能に影響を与える建材を標準仕様とすることも多いためだ。自発的な取組みを促すため、消費者からの満足度が上がるなど、何らかのインセンティブも必要になるだろう。

Housing Tribune編集部(創樹社)提供

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。