家庭用燃料電池(エネファーム)

投稿日 : 2020年01月10日

省エネを超える価値提案が進む

キーポイント

▶電気とお湯を同時につくる高効率設備

▶エネルギー効率70〜90%を実現

▶2018年末では累計28万台

「家庭用燃料電池」(エネファーム)は都市ガスやLPガスから取り出した水素と空気中の酸素を反応させて発電し、その際に発生する熱でお湯をつくる。

大規模発電所で発電し家庭に運ばれる従来の発電システムでは、電力の一部が送電ロスで失われるため、エネルギー効率は35〜40%とされている。これに対し家庭でエネルギーをつくる「エネファーム」は70〜90%と高いエネルギー効率を実現。エネルギーを有効に利用できる。

「エネファーム」は2009年に世界で初めて発売され、戸建住宅などで導入が始まった。14年9月には累計販売台数が10万台を突破。15年12月には15万台を突破した。

国も高効率なエネルギー利用を実現するエネファームの普及を後押ししている。

13年6月に閣議決定した日本再興戦略において、燃料電池技術の開発・低コスト化を掲げ、エネファームを20年にまでに140万台、30年までに全世帯の約1割に相当する530万台導入という大きな目標を設定している。

床暖房が利用しやすく、レジリエンス対応も進化したパナソニックの新型エネファーム

市場の天井感を打破する新製品開発が進む

しかし、エネファームの普及は業界全体として遅れているというのが実情だ。18年12月時点で導入は累計28万台にとどまっている。こうした市場の天井感を打破しようと、新たな提案が活発化している。

例えば、パナソニックは19年4月、エネファームの発電時に発生する排熱を床暖房に利用できる新型エネファーム「PREMIUM HEATING(プレミアムヒーティング)」を発売した。

室内の空気を乾燥させることなく輻射熱で均一に温められるため、健康で快適な屋内空間を実現する方法の一つとして床暖房へのニーズは高い。

一方、従来のガス温水床暖房は、ガスを燃やして温めた温水で床暖房を行うため、温かく快適な室内空間を保つためにはガスを燃焼し続ける必要がありランニングコストが大きく掛かった。

そこで、新型エネファームでは発電時の排熱を床暖房に利用できるようにすることで、気兼ねなく床暖房を使用できるようにし、ひいては健康で快適な室内環境という暮らし価値の向上を図れるようにした。

また、近年、大規模災害の発生頻度が増し、住まい手の災害対策へのニーズが高まっているため、新型エネファームではレジリエンス機能も強化し「停電時発電継続機能」を標準搭載。エネファーム稼働中に停電が発生した場合でも最大500W、最長192時間(約8日間)連続の発電が可能だ。

停電時でもスマートフォンやパソコンなどの小電力機器を使用するための最低限の電力と、お湯、床暖房の熱をエネファームで賄えるようにした。

これからどうなる?
省エネだけでないメリットの訴求が普及のカギ

業界全体として、エネファームの一般家庭への普及が伸び悩んでいる大きな要因の一つは価格だ。徐々に価格は下がり国の補助金もあるが、まだ200万円程度であるため、割高と感じている家庭が多いというのが実情だ。しかし、価格が下がるためには市場への普及が必要であるため、「鶏と卵の議論」に陥る。こうした課題を打破するために、省エネだけでなく健康や災害対策といった価値を付加する開発が進みそうだ。

Housing Tribune編集部(創樹社)提供