HEAT20

投稿日 : 2020年01月11日

HEAT20が目指す外皮性能の目標像

外皮と設備機器、創エネの性能をバランスよく調和

キーポイント

▶温熱環境の質を高めることを主眼

▶生活実感のある室内温度環境を指標

▶「G1」、「G2」の外皮性能グレードを設定

地球温暖化やエネルギー問題が深刻化するなか、2009年に発足したのが「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会(HEAT20)」。東京大学名誉教授の坂本雄三氏を委員長に、研究者や住宅・建材生産者団体、企業などで構成される。住宅は省エネ性能だけでなく、居住者が安全・安心で快適に過ごすための温熱環境の質を確保する必要がある。普及を図るためコストにも配慮しなければならない。HEAT20では、外皮と設備機器、創エネ、それぞれの性能がバランスよく調和した住宅を実現するための目標となる外皮性能を検討し15年12月に「G1」「G2」という2つの外皮性能グレード最終版を策定した。

HAT20の外皮性能グレードの大きな特徴は室内温度環境を指標としていることだ。例えば冬期間、暖房を使用しない状態で住宅内の最低体感温度が一定の温度以上を保つために必要な外皮性能の水準を示している。温度を主な指標としたのは、それが一般生活者にもわかりやすく、生活実感のある目安だからだ。温度を指標とすることで、住宅内の温熱環境の質の向上を図ることも可能になる。

具体的には「G1」の場合、各地域において冬期間、非暖房室も含めて住宅内の最低体感温度を概ね10℃以上に保つこととした。さらに、冬期間の暖房負荷を省エネ基準レベルの住宅と比較して20〜30%程度削減できる水準を設定した。「G2」では、室内の最低体感温度を概ね15℃以上に保ち、冬期間の暖房負荷を概ね30〜50%以上削減する水準を設定。域区分に応じてこれらの水準をクリアするために必要な外皮性能をUA値(外皮平均熱貫流率)で示した。

HEAT20の外皮性能実現を目指したプロジェクトも増えている。YKK APとリビタは、戸建住宅の性能向上リノベーション「広がる屋根」(神奈川県横浜市青葉区)を実施。日照シミュレーションや通風解析を導入することで、自然エネルギーを有効利用し、築37年の既存戸建て住宅をG1相当にレベルアップさせた。

共同住宅が対象の外皮性能水準の提案も

新たな外皮性能水準の提案も検討している。現状の「G1」「G2」は戸建住宅を対象としている。そこで、賃貸住宅やマンションなどの共同住宅を対象とした外皮性能グレードの策定に向け、「G1」「G2」のシナリオや水準を戸建住宅と同じにすべきか、空き室率をどう考えるかなど検討を進めている。

これからどうなる?
目指すべき外皮性能の基準のスタンダードに

今後、HEAT20が目指すべき外皮性能スタンダードとなりそうだ。HEAT20の外皮性能グレードでは住宅内の最低体感温度を一定の温度以上に保つために必要な外皮性能の水準を示した。室内温度を一定に保つには外皮の高断熱化が求められるのでエネルギー効率は高まり、省エネ化が図られる。建築家の伊礼智氏は、「さまざまな団体が色々な基準を設けているが、HEAT20が一番受け入れられやすいのではないか。現時点ではG1、将来的にはG2が最低レベルで、あとは地域に応じてということになるのではないか」と話す。

Housing Tribune編集部(創樹社)提供