地震対策

投稿日 : 2019年12月17日


熊本地震の激震地でもあった益城町では、新耐震基準以降の建物にも倒壊・崩壊などの被害が広がった

求められる建基法レベル以上の耐震性能

キーポイント

▶熊本地震では新耐震以降の住宅にも被害が拡大

▶耐震等級2、3以上の住宅づくりが当たり前に

▶安心な塀を求めるニーズも高まる

 
日本各地で地震被害が相次ぐ中で、より高いレベルの住宅の耐震性が求められている。特に2016年に生じた熊本地震では、新耐震基準以降に建てられた建物が倒壊する被害が生じ、住宅業界に大きな課題を突きつけた。熊本地震では、前震と本震という2つの大きな揺れが発生。このような巨大地震が発生した場合、現行の耐震基準ギリギリのレベルで建てられた建物では、全半壊の被害が生じることが浮き彫りとなった。

熊本地震で倒壊した建物の原因を見ると、接合部仕様が不十分であるために、地震動により接合部が先行破壊し、耐力壁が有効に機能しなかったことが、被害を大きくした主な要因のひとつと推測されている。また、倒壊した建物ののなかには設計の配慮不足が見られる住宅もあった。さらに、筋交いが多く用いられている地域であったことも関係して、筋交いの不具合が影響して建物被害につながったと見られるケースも目立った。

巨大地震にも耐えうる木造住宅を実現するためには、耐震基準のさらに上の耐震性能を目指すことが重要になる。住宅の品質確保等の促進に関する法律には、壁量を現行基準の1.25倍にする耐震等級2と、1.5倍する耐震等級3が規定されている。

木造建築の構造が専門の京都大学の五十田博教授によると「耐震等級3程度の家であれば、大地震が発生しても、最も被害が大きくても半壊から大規模半壊ほどで済む可能性が高い。さらに、壁量を増やして行くことで、建物被害のリスクを軽減できる」としている。熊本地震を一つの契機に、耐震等級2、3、それ以上の住宅づくりを目指す動きに拍車がかかっている。

新耐震以降の住宅でも改めて地震への備えが必要

耐震診断・耐震補強といえば旧耐震の建物が対象であると考えられがちだが、熊本地震では新耐震基準以降に建てられた木造住宅にも被害が広がった。新耐震以降の木造についても改めて地震への備えを検討し直す必要がありそうだ。

(一財)日本建築防災協会では、簡易耐震診断「誰でもできるわが家の耐震診断」HP上で公開している。これは「家を建てたのはいつ頃ですか」「1階と2階の壁面が一致しますか」「壁の配置のバランスはとれていますか」「屋根葺材と壁の多さは」といった10の設問に応えるだけという簡単なもの。こうした簡易耐震診断の普及を促し、住まいの耐震性への意識を高めていく取り組みが求められている。

これからどうなる?
危険な塀をゼロにブロック塀の改修需要も高まる

2018年6月、大阪府北部を震源とする地震によるブロック塀の倒壊で2人の死者が出たことを受け、国土交通省は、2019年1月から耐震基準が強化された1981年以前に建てられた大規模建築に隣接するブロック塀の耐震診断を義務化した。また、2019年度、新たにブロック塀の耐震診断や除去、改修への補助制度をスタートさせた。対象となるのは、地方公共団体が地域防災計画または耐震改修計画で位置づけた避難経路の沿道にあるブロック塀。先の耐震改修の義務付けでは住宅は対象外であったが、補助制度では住宅に設置したブロック塀も対象になった。耐震診断や除去、改修にかかる費用(上限1mあたり8万円)のうち3分の2を補助する。ブロック塀の耐震診断、改修需要が一気に高まっていきそうだ。

 
Housing Tribune編集部(創樹社)提供