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UR都市機構など、DIY賃貸に取り組む事業者が増加
キーポイント
▶賃貸住宅の原状回復義務を撤廃
▶入居者が自由に内装をアレンジ可能に
▶空き家活用の手段としても注目
通常、賃貸住宅の入居者には原状回復義務が課せられる。もしも、入居中にDIYによって内装などをアレンジした場合、退去の際に入居時の状態に戻すことが求められ、この点が賃貸住宅のデメリットでもある。
例えば、壁紙を自分の好みのものに変更しようとしても、退去時に原状回復のためのコストがかかってしまうので、なかなか自分流にアレンジして好みの空間をつくることができないのだ。
こうしたなか、最近ではDIY賃貸というものが注目を集めつつある。原状回復義務を免除し、入居者が自由に室内をアレンジできるようにしたものだ。
DIY賃貸に先駆的に取り組んでいるのがUR都市機構。管理する一部の賃貸住宅において原状回復義務を免除し、賃貸住宅であっても持家のように入居者が自由に室内をアレンジできるようにしている。
民間住宅でもDIY賃貸に取り組む事例も目立ってきており、空き室対策という点でも注目を集めている。
2014年3月、国土交通省が設置した「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」は「個人住宅の賃貸流通を促進するための指針(賃貸化ガイドライン)」を策定。このなかで、借主の資金負担で改修を行う賃貸借の形態を「借主負担DIY型」とし、空き家の賃貸化を促す新たな賃貸借の形態として推奨した。
空き家の賃貸化にあたり、空き家の改修費が負担になる貸主も多い。そこで、「借主負担DIY型」では、借主が自らの意向を改修に反映できる一方で、改修費については借主の負担とする。これにより、構造部などに重要な欠陥がなければ、貸主は空き家を現状のままで貸し出せるため、貸主にとってはコストを掛けずに自宅を賃貸化できるというメリットがある。
(一社)移住・住みかえ支援機構(JTI)では、この「借主負担DIY型」のスキームを活用したサービスを展開している。空き家を賃貸化する場合、改修費などの初期コストがかかってしまう場合がある。そこで、JTIでは高齢者が保有する戸建住宅を借上げ、それを子育て世帯に貸し出すという事業を実施している。この事業に「借主負担DIY型」の考えを取り入れ、子育て世帯が入居した後に自由にリフォームできる制度を導入。これによって、住宅を貸し出す高齢者は、初期コストをかけることなく自宅を賃貸化できるというわけだ。
DIY人口の増加でDIY建材の商品拡充や、東京R不動産が運営する「toolbox」のように、DIY建材をネットで販売するウェブサイトも増えてきた。
DIY賃貸は、オーナーがコストを負担することなく空室を再生できるというメリットがあるだけに、DIY市場の拡大が追い風となり、今後さらに拡大していく可能性がある。
Housing Tribune編集部(創樹社)提供
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