分譲戸建て住宅市場

投稿日 : 2020年01月04日/更新日 : 2023年06月06日

新設住宅着工戸数 分譲住宅・一戸建て

出典:国土交通省

若年層のニーズに応える新たな提案を

キーポイント

▶3年連続で着工は増加

▶契約率にブレーキ

▶価格や土地付きを超えた魅力創出を

新設住宅着工が100万戸を切ったのが2007年。この着工戸数の大幅減少のなかで、際立って大きく落ち込んだのが分譲住宅である。09年の分譲住宅の着工戸数は16万8836戸と前年比43.7%という大幅減少となった。

分譲住宅は大きく戸建て住宅とマンションに分けられるが、急激な市場縮小から一足早くプラスに転じたのが戸建て住宅である。09年まで3年連続で、1割強の減少を続けたが、その減少幅はマンションに比べれば小さかった。さらに10年1月に前年同月比でプラス転じて以降、13年まで前年比で増加を続けた。消費増税の駆け込み需要の反動減などの影響で14、15年と前年度割れとなったが、以降は18年度まで前年比プラスを続けている。

多様化に対応する付加価値の創出を

ただ、市場の勢いにブレーキがかかってきている。

不動産経済研究所の「首都圏の建売住宅市場動向」によると、18年度の新規発売戸数は前年度比0.1%減とほぼ横ばいであり、平均契約率は44.2%と同4.3ポイントダウンした。

戸建て分譲住宅マーケットを支えているのは一次取得者層である。戸建て分譲住宅購入者の約7割が賃貸住宅居住者であり、約8割が25~39歳の若年層であるという。

こうした層を中心に住まい方のニーズが多様化し、所有にこだわらない、また、新築にこだわらない層が増えている。これまでの一次取得者はシェアハウスやリノベ住宅などが注目されている。また、地価の安い地域ではローコスト注文住宅が競争力を持つ。

注文住宅に比べて安い、集合住宅よりも土地付き一戸建て――その魅力が薄れるなか、多様化するニーズに応える付加価値の創出が鍵となっている。

これからどうなる?
タウンマネジメントに注目

戸建分譲住宅団地のタウンマネジメントが注目されている。民が主導し、ソフトサービスなどを導入することで、まちの価値の維持・向上を図る。住宅を分譲して終わりではない、一歩先を行く戸建て分譲の街づくりだ。例えば、減災、省エネ、コミュニティ醸成、子育て支援などから分譲地の魅力を高める取り組みが進められている。住宅単体ではなく、まちづくりの魅力を高めることで大きな差別化につながる。

Housing Tribune編集部(創樹社)提供

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。