防犯対策

投稿日 : 2019年12月26日/更新日 : 2023年06月05日


YKK APは窓・ドアの錠の閉め忘れを防止するアイテムとして、ドアや窓とスマートフォンをつなげ、戸締りし忘れを防止するサービス「ミモット」の提供を2019年4月から開始。

侵入窃盗被害は減少も住宅被害は1日約86件

キーポイント

▶CP部品の普及でピッキング被害は減少

▶侵入窃盗の発生場所認知件数は住宅が4割超

▶約7割が「防犯対策なし」とする調査も

住宅の防犯対策は、ピッキングによる被害が広がり、社会問題化したことをきっかけに対策が進んだ。

2004年には警察庁と国土交通省などで構成される「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」が設けられ、防犯性能の高い住宅部品を評価・登録する「CPマーク認定」制度がスタート。「侵入抵抗時間5分」という目標を設定し、試験の結果、これをクリアした建物部品を「防犯性能の高い建物部品」(CP部品)として目録に掲載・公表する。CP部品などの防犯性の高い建物部品の開発が進んだことなどにより近年、ピッキングなどの施錠開けの被害は減少している。

警視庁WEBサイトの「住まいる防犯110番」によると侵入窃盗の認知件数は、03年以降減少に転じ、18年は前年比14.2%減の6万2745件と16年連続で減少。このうち住宅対象侵入窃盗は、04年以降減少しており、18年は前年比14.9%減の3万1505件となった。しかし、一日当たり約86件発生しており、未だ多くの住宅が被害に遭っているのが実情だ。

侵入窃盗の発生場所別認知件数は、一戸建住宅が42.5%と最も多く、一般事務所が12.7%で共同住宅(4階以上)が11.8%と続く。侵入窃盗の手口別認知件数をみると、空き巣が約3分の1を占める。また、一戸建住宅への空き巣被害の9割超は窓、出入り口からの侵入となっている。そして錠破りやガラス破りなどの侵入手段の4割超を無締りによる侵入が占めており、多くの人が戸締り忘れにより侵入窃盗の被害を受けている。

セコムが13年に実施した「不安に関する意識調査」によると、「防犯対策の有無」については、「防犯対策をしていない」が66.8%にのぼり、7割近くの人が対策を講じていないことが明らかになった。こうした現状を見ると住宅事業者にさらなる住宅の防犯対策を促す取り組みが求められていると言えそうだ。

賃貸集合住宅の性能の向上へ、BLは認定事業を展開

とくに賃貸集合住宅では、建設コストの制約から十分な防犯対策を講じられないケースが少なくないという指摘もある。こうした課題に対応して(一財)ベターリビングは 16年から防犯性に優れた賃貸集合住宅を認定及び登録する「防犯優良賃貸集合住宅認定事業」を開始した。基準に適合した賃貸集合住宅の普及を促すことより住宅全体の防犯性能の向上、安心・安全な暮らしの実現に寄与していきたい考え。対象となるのは概ね4階建てまでの新築集合住宅。様々なタイプの集合住宅を3類型に分け、それぞれの類型に応じた基準を設け審査を行う。

これからどうなる?
IoTシステムを組み込んだ防犯サービスが普及

IoTシステムを組み込み、より高いレベルで安全・安心を提供する防犯サービスなどへの注目度が増していきそうだ。YKK APは2019年4月、ドアや窓にIoTシステムを組み込み、戸締まりのし忘れを通知するサービスを一体化して提供する新サービス「ミモット」の提供を開始した。また、スマートフォンなどで施解錠できる「スマートロック」も各社が開発、発売している。こうした取り組みは住まいの安全性を高めるだけでなく、より便利に、より快適にという新たなサービスにもつながるものだ。IoTを活用した安全・安心の提供は、今後も広がっていきそうだ。

Housing Tribune編集部(創樹社)提供

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。