建設キャリアアップシステム

投稿日 : 2019年12月18日

能力や経験に応じた評価や処遇を受けられる環境整備

キーポイント

▶業界統一のルールで技能者の能力を評価

▶建設技能者の資格、経験などを数値化

▶5年で330万人、すべての技能者登録へ

 
「建設キャリアアップシステム」とは、技能者の保有資格や就業履歴を業界横断・統一のルールで登録・蓄積する仕組み。建設キャリアアップシステムの構築に向け官民(参加団体:日建連、全建、建専連、全建総連など)で検討を進め、19年4月に本格運用を開始した。運用初年度で100万人、5年ですべての技能者(330万人)の登録を目指す。

建設技能者の保有する資格などの情報を同システムに登録した上で、固有のIDが付されたICカード(キャリアアップカード)を建設技能者が取得し、そのカードを現場に設置されたカードリーダーで読み取ることで、誰が、いつ、どこの現場で、どのような立場で作業に従事したかといった記録が、業界統一のルールに基づいて蓄積されていく。同システムに登録・蓄積される技能者の有資格や就業履歴といったデータを活用して、それぞれの技能レベルを4段階で評価し、このレベル分けを土台として、個々の所属企業におけるレベルに応じ賃金の支払う仕組みなどを構築する。

4段階のレベル分けでは、レベル1は見習い技能者(初級技能者)、レベル2は一人前の技能者(中堅技能者)、レベル3は職長として現場に従事できる技能者(一定の職長経験を有する者)、レベル4は高度なマネジメント能力を有する技能者(登録基幹技能者等)を目安とする。さらに、システムにより把握できる保有資格を「技能点」、就業日数を「就労点」としてそれぞれポイント化し、合計して能力を評価する。

また、評価制度の客観性や、職種間のバランスを確保しつつ職種ごとの特性を反映するため、登録基幹技能者制度を参考にしたスキームの構築を目指す。具体的には、国土交通省が、評価制度の枠組みや評価基準に関する共通の目安やルールについて、ガイドラインなどを策定。このガイドラインなどに基づき、専門工事業団体などが、職種の特性を踏まえた具体的な評価基準を策定する。

大成建設が地価1階地上11階のオフィスビルの建設を進める「麹町五丁目建設プロジェクトの現場で、建設キャリアアップシステムのデモンストレーション

建設業の外国人材活用でもシステムへの登録が必須

建設業関連企業が外国人材を活用していく上でも、建設キャリアアップシステムへの登録が必須となる。19年4月から、新たな在留資格「特定技能」の新設に伴う、建設分野における外国人材の受け入れがスタートした。国土交通省は25年度の建設技能者を約326万人と推計しているが、必要となる労働力(約347万人)に対する不足分(21万人)に、生産性向上と国内人材の確保を足してもなお不足する4万人を上限に外国人材の受け入れを行う。最長5年の在留を認める特定技能1号と、在留期間の制限のない特定技能2号の2種類の技能水準を設定、(一社)建設技能人材機構も設立した。一方、外国人材の受け入れ企業には、受け入れ計画を作成し、国土交通大臣による認定を受けることや建設キャリアアップシステムへの登録などが義務付けられた。

これからどうなる?
工務店も積極的な活用を求められる業界全体の取り組み

建設技能者の待遇改善を促し、人手不足を打開するものとして期待を集める建設キャリアアップシステム。ゼネコンなどの大規模事業者を対象としたものと考えられがちだが、住宅建設を担う工務店にとっても、大工の技能、職歴を業界統一のモノサシで評価し、処遇を改善し、大工を安定的に確保ていく上で重要な仕組みになっていくだろう。事業規模の大小に関わらず、より多くの建設関連事業者、建設技能者への認知を高め、業界全体の取り組みとして発展させていけるかが問われている。

 
Housing Tribune編集部(創樹社)提供