高経年化マンション問題

投稿日 : 2019年12月25日

高経年マンション戸数の推移

出典:国土交通省

管理不全でスラム化も

キーポイント

▶築40年超マンションは20年後にストックの4割

▶管理費・修繕積立金が集まらず管理不全で建物が荒廃

▶早急な対策が求められる

 
日本では1950年代頃から分譲マンションの供給が行われてきた。高度経済成長に伴う人口増に対応し、その数は増加、現在のマンションストック総数は17年末時点で約644万戸まで積み上がっている。

そのなかで、築40年を超える「高経年マンション」が増えている。17年末時点で約73万戸あり、マンションストック全体の約1割を占める。

国土交通省の試算によると、10年後にはマンションストック全体の25%(185万戸)、20年後には42%(352万戸)にまで急拡大する見込みだ。特に、分譲マンション供給初期の建物が多い東京都心部で高経年マンションは増えているが、今後は郊外のニュータウンなどでも増えていくとみられる。

劣化・入居者減の悪循環が深刻に

築年数が40年を超え、マンションが高経年化してくると、様々な問題が生じてくる。そのひとつが、建物の劣化。適切な管理・修繕が施されないことで建物が荒廃し、区分所有者だけでなく外部にも悪影響を及ぼし、いわゆる「スラム化」する可能性も出てくる。

高経年化したマンションで建物の劣化が起こる根本的な理由は、長期修繕計画を立て、修繕積立金を集めるという本来は当たり前のことができておらず、計画的に修繕できないためだ。

築年数が古くなればなるほど、長期修繕計画を策定しているマンションは少なくなる傾向にある。国土交通省のマンション総合調査(13年度)によると、69年以前に建築されたマンションでは25%で長期修繕計画が策定されていない。その理由の多くは、「分譲当初からなかったから」というものだが、築年数が古いマンションほど、「必要だが作成方法がわからない」という回答が多い。

一方で、長期修繕計画の未策定に連動して修繕積立金不足も深刻化してきている。国土交通省の同調査によると、積立額が「不足している」との回答は16・0%。築40年超のマンションでは3カ月以上滞納している区分所有者がいるところが半数、6カ月以上滞納している区分所有者がいるところが3割いる。工事費の値上がりや、空き室、賃貸化の増加などで、修繕積立金に対する意識が低くなっていることなどが要因。

長期修繕計画の未策定、修繕積立金の滞納といった問題に対して、国土交通省では、ガイドラインを作るなどの対策を行っているが、管理組合・区分所有者の取り組みは進まない状況だ。

これからどうなる?
自治体、国の取り組みが本格化する

東京都が2020年4月に高経年マンションの管理状況に関する届け出制度を創設予定であるなど、高経年マンション問題への対策に着手する自治体が出てきた。

さらに、(独)住宅金融支援機構が中心となり、マンション管理団体や金融機関等とマンション高経年化問題に本格的に取り組む動きも出てきている。今後は、国、自治体、金融機関、マンション管理団体等が連携し、官民・業界を横断した取り組みが求められそうだ。

 
Housing Tribune編集部(創樹社)提供