省エネ性能に優れた建材開発を促進
住宅関連企業の海外進出
住友林業の子会社である米国のギーエンホームズグループが手掛けている住宅
日本の住宅が海を越える
キーポイント
▶成長戦略のコア的な位置付けに
▶不動産開発から戸建販売住宅へ
▶東南アジア経済成長底堅く注目
少子高齢化による人口・世帯減少を背景に、さらに海外進出が加速している。中でも、最近目立つのはハウスメーカーの動きだ。
積水ハウスは、2017年3月に米国の住宅会社Woodside Homesを買収し、米国での戸建住宅事業に参入した。Woodside Homesは20年までに、カリフォルニア州の新築住宅全てをZEHにする方針で、積水ハウスのこれまで培った「グリーンファーストゼロ」のノウハウを生かし、足固めを図る。また、19年1月には米国で開催された世界最大級のコンシューマー・エレクトロニクス見本市「CES2019」に、国内ハウスメーカーとして初めて単独出展するなど、住まいづくりの提案も積極的に行っている。
大和ハウス工業も17年、米国バージニア州を中心とする東部地域で戸建住宅事業を行うスタンレー・マーチン社を子会社化。18年8月には、タイのブンロード・ブリュワリーグループの不動産開発および建築請負会社と合弁事業契約を締結し、戸建分譲事業に乗り出した。
旭化成ホームズは、オーストラリアで鉄骨構造(スチールフレーム住宅)を主力商品として持つMcDonald Jones Homesと17年に資本提携をした。18年は米国で戸建住宅ビルダーへプレハブ建築部材の提供を行うErickson Framing Operations社を買収するなど、海外での拠点づくりを進めている。
北米やオーストラリアで住宅事業を拡大している住友林業は、着実に販売戸数を増やし、17年度までの5年間で4倍に。18年度は1万戸に達する勢いで推移しており、堅調な販売が続いている。
海外展開で先鞭を付けた建材・設備メーカーの動きも底堅い。
LIXILグループの海外事業の売上高は17年度で5714億円と、海外市場での存在感を保っている。
中国への展開も加速へ
また、不動産デベロッパーも新機軸として海外展開を図る。
三菱地所の米国子会社ロックフェラーがワシントンDCエリアで多くの開発実績を持つ現地不動産会社と共同事業で、17年にオフィスビルの開発業務を担った。18年9月には、中国のなかでは経済成長が著しい、杭州市で、中国大手デベロッパー万科企業と共同で、オフィスを核とする大規模複合開発事業に参画した。
三井不動産は、香港に設立した「MFHK INVESTMENT LIMITED」を通じ、中国・蘇州市で分譲住宅事業に参画することを18年に決めるなど、中国で事業展開する企業が相次いでいることも見逃せない。
これからどうなる?
海外展開でのリスクも露見、ガバナンス強化が重要
今後も住宅メーカーの海外展開は衰えないだろう。
中でも底堅い経済発展をみせる東南アジア市場には注目が集まる。
一方、海外展開でのリスクも顕在化してきた。大和ハウス工業は、中国・大連市の住宅販売の関連会社で約234億円の会社資金が不正に引き出された。中国の合弁先から派遣された取締役の中国人男性などが不正に関与していたという。
ガバナンスへの対応など海外展開へのリスクを、これまで以上に考える必要があろう。
Housing Tribune編集部(創樹社)提供
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