生涯活躍のまち

投稿日 : 2019年12月23日/更新日 : 2023年06月05日

日本版CCRCが目指す基本方針(基本コンセプト)

出典:日本版CCRC構想有識者会議

多世代と交流し健康な暮らしを実現

キーポイント

▶米国発祥の高齢者共同体の日本版

▶移住により健康で地域社会と協働する暮らし

▶医療・介護の体制を整備、継続的なケアを提供

国は2014年に「まち・ひとち・しごと創生総合戦略」を閣議決定、そのなかで「日本版CCRC構想」を打ち出した。「生涯活躍のまち」とは、この“日本版CCRC”の呼称である。

CCRC(Continuing Care Retirerment Community)とは、米国発祥の、高齢者が安全・安心で、快適かつ生きがいをもって暮らせる共同体のこと。高齢者が移住し、健康時から介護・医療が必要となる時期まで継続的なケアや生活支援サービスなどを受けながら生涯学習や社会活動などに参加し、いきいきとした暮らしを実現していく点が大きな特徴となっている。

米国では、自立型住宅や軽介護型住宅、介護施設といった健康レベルに合わせた住宅が用意されており、健康状態によって住み替えられる。また、健康レベルに応じて、生活支援や介護、医療サービスも提供され、健常・自立者には食事や娯楽文化サービスなども提供されている。

すでに121の自治体が取り組みを開始

日本では、高齢社会への対応という視点からだけでなく、地方創生策としてCCRCの導入を進めてきた。

「日本版CCRC構想」を踏まえ、15年に設置された「日本版CCRC構想有識者会議」が日本の実情に応じたCCRCの在り方を検討、最終報告書で日本版CCRC構想が目指す基本コンセプトなどを示した。「地方創生の観点から、中高年齢者が希望に応じて地方や「まちなか」に移り住み、地域住民や多世代と交流しながら健康でアクティブな生活を送り、必要に応じて医療・介護を受けることができる」ことを「生涯活躍のまち」と位置付けている。

この生涯活躍のまちに対する取り組みが全国で広がっている。

内閣府の「平成30年度「生涯活躍のまち」に関する意向等調査結果」(全都道府県及び市区町村を対象)によると、「取り組みの推進意向がある」地方公共団体は216団体、そのうちすでに取り組みを開始しているのは121団体に及ぶ。

生涯活躍のまちの取り組みは自治体のみではなく、移住支援やまちづくりを行う事業者、医療・福祉サービス事業者、地域住民などが参画する官民連携がポイントとなる。住関連企業はその重要なプレイヤーであり、地方創生という新たな市場でのビジネスチャンスにつながることが期待される。

これからどうなる?
都市部への住み替えが広がる

生涯活躍のまちは、“住み替え”を促進するものであるが、広域的な移動だけでなく、地域内での「まちなか」への移住支援も含まれる。利便性の面から郊外の住宅を売って都市部のマンションに移りたいという高齢者は少なくない。都市部における生涯活躍のまちの整備は、こうしたニーズに合致するもので、行政コストの削減につながる可能性もあることから、今後、広がっていく可能性もある。

Housing Tribune編集部(創樹社)提供

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。