生産緑地の2022年問題への対応が求められる。写真は都内の生産緑地
太陽光発電の2019年問題
10年の売電期間が終了したら、あなたはどうしますか?
出典:グッドフェローズ
2019年、FIT買取の満了が開始
キーポイント
▶2019年11月以降、FIT買取が満了する世帯が出現
▶買取満了世帯に向け、新たなビジネスモデルが提案
▶自家消費市場の拡大に向け、創蓄連携提案も活発化
2019年問題とは、2019年11月から太陽光発電の固定価格買い取り制度(FIT)の余剰電力買い取り契約が順次終了する世帯が出てくる問題。
経済産業省によると、19年には53万件、20年には73万件と累積して増え続け23年には165万件まで拡大する見込みだ。
こうしたFITの買い取り期間が終了することは“卒FIT”とも呼ばれている。
卒FIT世帯への電力買取サービスも
買い取り期間終了後、現在の買取者が東京電力エナジーパートナー・北陸電力・関西電力の場合または離島の場合は、新しい単価で継続して買取りを行う予定だが、FIT期間中よりは買取価格は下がる見通し。一方で、現在の買取者がこれ以外の場合、各家庭が小売電気事業者などに対し、余剰電力の売電契約を行わないと、一般送配電事業者へ無償で電力を供給することになる。
いずれにせよ、卒FIT世帯は19年11月以降、何らかの対応を迫られる。このため、卒FIT世帯をめぐり電力売電市場がにわかに活発化、新たなビジネスモデルの提案が活発化している。
例えば、中部電力は「これからデンキ」という名称でイオンと連携し、卒FIT向けの電力買取サービスを提案している。
これは、中部電力が電力を供給している顧客で卒FITの家庭を対象にしたもので、卒FIT世帯の太陽光発電余剰電力を中部電力を介してイオンが買い取り、買い取り量に応じてイオン店舗で使える「WAON」のポイントを家庭に付与する。買い取り価格とポイントの詳細は決まっていないが、卒FIT世帯にとっては、19年以降も売電できるとともにポイントももらえ、メリットのある仕組みと言える。
一方で、中部電力にとっては、電力自由化による新電力の参入で電気事業の競争が一層激しさを増す中、現在の顧客をつなぎとめられる。また、イオンにとっては事業方針である店舗運営でのCO2排出量削減を図れるとともに、ポイントを活用しようとする家庭を店舗に呼び込める。
一方で、卒FIT世帯は、19年11月以降、発電した電力を自家消費するという選択肢もある。住宅用太陽光発電一括見積りサイト「タイナビ」を運営するグッドフェローズの調査によると、卒FIT世帯の54%が「蓄電池やエコキュートなどを購入して、自家消費する」と回答しており、自家消費市場の拡大も見込める。太陽光発電で発電した電力を蓄電池に貯め、夜間などに使うという提案が活発化しており、AIを導入し最適制御する蓄電池の開発も活発化している。
これからどうなる?
卒FIT以外でも自家消費の流れ
2019年問題をきっかけに太陽光発電の自家消費市場が構築されれば、卒FIT以外の世帯でも、発電した電力を売電せずに自家消費する流れが出てくる可能性がある。FITの買取価格は年々下がっているため、蓄電池の価格が下がり売電するより自家消費にメリットが出るようになれば、将来的には新規の太陽光発電設置時から、売電ではなく自家消費を選ぶ人が出てくるかもしれない。
Housing Tribune編集部(創樹社)提供
