i‐construction

投稿日 : 2019年12月27日/更新日 : 2023年06月05日

生産性向上イメージ

出典:国土交通省

ICTの活用で建設現場に生産革命

キーポイント

▶生産性の低い土工、コンクリート工から対策

▶2025年までに建築現場の生産性を2割向上

▶産官学連携で3次元データの標準化などを推進

国土交通省は2015年12月、ICT(情報通信技術)などの全面的な活用により建設現場の生産性向上を目指す取り組み「i-Constrution」の導入を公表した。

まず16年に、トップランナー施策として、①「ICTの全面的な活用(ICT土工)」、②「全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化など)」、③「施工時期の平準化」の3つの取り組みを開始。土工やコンクリート工を対象としたのは、国直轄の土木工事における割合が約4割を占めることに加え、建設現場で多く用いられている土工や場所打ちコンクリート工の生産性が30年前とほとんど変わっておらず、改善の余地が大きかったため。トップランナー施策の知見などを踏まえ、すべての建設現場でi-Construtionの取り組みを浸透させていきたい考えだ。

17年3月に公表された、「i-Constrution推進に向けたロードマップ」には、調査・測量から設計・施工・維持管理まで全ての建設生産プロセスで、ICT、3次元データなどの活用を進めることで、25年までに建設現場の生産性を2割向上させることを目指すことが明記された。

また、17年1月には、産官学が連携して技術的な課題の解決などを進めていくために、「i-Constrution推進コンソーシアム」(会長:小宮山宏三菱総合研究所理事長)が設立され、本格的な取り組みをスタートさせている。最新技術の現場導入のための新技術発掘や企業間連携促進、3次元データ利活用促進のためのデータ標準やオープンデータ化、i-Construtionの海外展開などの取り組みを推進する。

住宅現場でもBIMに脚光、施主とのコミュニケーションに

ICTの進化に伴い、今後、住宅・建築分野でも、様々な局面でデジタル化が進展していきそうだ。

住宅・建築分野では、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)が存在感を増している。

BIMとは、コンピューター上に作成した建物の3次元モデルのなかに、ドアや窓などの材料・部材の仕様・性能、さらに仕上げ、コスト、プロジェクト管理情報などの属性データを追加した建物の統合データベース。建築の設計、施工から維持管理まで、建築物のライフサイクル全体に及ぶあらゆる工程で、建物の様々な情報を有効に活用するための仕組みだ。

BIMの活用により、設計者、施工者、発注者など、建築プロジェクトに携わる関係者は、設計、施工から維持管理まで建物のライフサイクルのあらゆる工程で建物情報を共有し活用できるというメリットを享受でき、結果として、関係者間の意思疎通を円滑化し、建築設計の生産性向上が期待できる。

住宅分野では、こうしたBIMの特性を活かし、施主とのコミュニケーションツールとして活用する先進的な工務店なども現れ始めている。

これからどうなる?
施工現場のデジタル化で職人不足も解消

設計や建築材料の製造段階だけでなく、今後は施工現場のデジタル化が進むことも考えられる。例えば、設計データなどをAR拡張現実ゴーグルなどと共有しながら、適切な施工をガイドするといったことが実現すれば、住宅建築のあり方を大きく変え、人材不足問題を解消する切り札としても期待できそうだ。

Housing Tribune編集部(創樹社)提供

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。