進む不動産取引のオンライン化。成約率20%増、期間60%減少の実例も!

投稿日 : 2020年11月24日

コロナ禍で市民権を確固たるものにしたWEB商談やテレワークといった、ITを活用したビジネススタイル。高額取引である住宅販売の場面でもITの活用が加速しています。

群馬県の住宅展示場では、無人内覧システムやチャットボット商談を活用した非接触型営業の導入で、成約率20%増、来場から成約までの期間が60%減少した事例も登場しました。

今回は、不動産業界におけるITを活用したビジネススタイルについて、住宅市場の動向と国の対応をもとにご紹介します。

新築住宅市場の動き

ケイアイスター不動産(埼玉県本庄市)は、「はなまるハウス」高崎展示場(群馬県高崎市)に無人内覧システムとチャットボット商談を活用した非接触型営業を導入しました。その結果、来場から成約に至るまでの期間は約60%減少し、成約率が20%増加したということです。この取り組みは当初3カ月間限定の予定でしたが、多くの反響があったことから、期間を延長することが発表されています。

一般的に展示場での商談は、営業社員が接触して対応する場合がほとんどです。オーソドックスな商談形式ではありますが、これによって時にはお客様が求めていない熱心な営業や長時間の商談が発生してしまうようケースも発生する可能性があります。お客様にとってストレスになりますが、これは営業社員にとっても購入意欲の低いお客様に貴重な時間が割かれてしまうというデメリットもあるでしょう。

それに対して、非接触型営業を導入した展示場では、IoT機器を導入し来場予約から退室、住宅購入に必要な情報取集のサポートまで無人対応とすることで、必要以上に時間をかけた商談への不満解消と購入費用の削減を可能にしています。この新しい取り組みと、新型コロナウイルスの影響により反響が増加したため、営業期間の延長をするに至ったとのことです。

こうした非接触型の住宅営業への需要は、今後更に高まり、無人内覧システム搭載のモデルハウスのエリアも拡大していくことでしょう。

中古住宅市場の動き

中古住宅の売買でもITを活用した非接触化が取り入れられ始めています。日本最大級の不動産買取マッチングサイト「インスペ買取」を運営するNon Brokers株式会社は、不動産買取に特化した不動産の売却希望者(以下、売主)向けサービス「オンライン内見PLUS」のベータ検証をスタートしました。

「インスペ買取」は、売主と買取会社を直接マッチングする不動産買取プラットフォームです。現在、不動産買取に積極的な会社の登録は720社超、買取予算額は6700億円を超えており、高額入札および最短2週間程度のスピード買取を実現しています。

この「オンライン内見PLUS」提供の背景には、売主と買取会社の双方のニーズの高まりが関係しています。新型コロナウイルスの影響もあり、売主から「仲介で売れない」「内見がなかなか入らない」という声とともに、感染拡大防止の観点から、「内見をオンライン化できないか」とのご要望が多く寄せられていたのです。これを受けて、同社がインスペ買取登録の買取会社にヒアリングを行った結果、「オンライン内見を実施してみたい」というニーズが過半数を超えたことから、本サービスのベータ検証をスタートすることになりました。

また、同社が行った不動産買取会社へのヒアリングで、「オンライン内見だけでは買取の意思決定ができない」と回答した会社が3割弱いたものの、その多くは、「売主のみ知りえる情報が充実すればオンライン内見も可能」と考えていることが分かっています。

既に、投資用のオーナーチェンジ物件においては、物件を内見することなく買取を行う不動産会社も多く存在しますが、実需になるとオンライン内見だけで買取の意思決定をすることはリスクが高いです。また、購入を決めた後で問題が発覚するとトラブルになる可能性もあります。

実需の物件に関しては、一気にオンライン内見のみで完結できるようになるまでには、まだ道のりはあるようです。しかし、今回の「オンライン内見PLUS」ベータ検証を足掛かりとして、不動産のプロフェッショナルである買取会社による買取り関しては、近い将来、オンライン内見のノウハウ、習熟度向上により、オンライン内見のみで完結できる可能性は十分にあると、東峯社長は考えているとのことです。

国の動き

国も新型コロナウイルス感染症による影響への対応のため、住宅取引におけるIT活用に一層力を入れ始めています。国土交通省は、ITを活用した重要事項説明(IT重説)関連の社会実験の実施を継続することを決めました。

IT重説については、先だって不動産賃貸事業において社会実験が行われており、2017年10月から本格的な運用がスタートしています。今回、継続実施すると発表された社会実験は、個人を含む不動産売買取引におけるIT重説です。こちらは、2019年10月から実験が行われており、当初、2020年9月末で社会実験終了の予定でしたが、この度2020年10月以降も継続するようです。

今後は、社会実験に参加した企業や取引の相手方から収集したアンケートなどをもとに、2020年度内に有識者検討会を開催する予定本格運用に向けた検討を進めていくとしています。その後の展開については、国土交通省不動産業課によると、同検討会での結論に対応して定める方針で、有識者が結果を分析した上で本格運用が可能という判断がなされれば、社会実験からそのまま切れ目なく本格運用に移る見込みとしています。

まとめ

住宅は不動産といわれるように取引の対象物が動かない分、それに関わる人間が動かなければなりません。そして、我々はそれを当たり前のように受け入れています。

コロナ禍によって、ビジネススタイルの当たり前だったことが見直されたように、住宅の取引においても、当たり前を見直して、新たなスタイルへと進化するチャンスが来ているのかもしれません。