不動産業界のDX事例3選紹介|企業が抱える課題を解決するための選び方

投稿日 : 2020年12月10日/更新日 : 2023年06月08日


働き方改革が提唱されたこともあり、不動産関連の企業でも業務効率化が課題になっています。業務効率化を進める企業から注目されているのが、今回取り上げるDXです。この記事では、DXの特徴やメリット、不動産DXの導入事例などを紹介します。

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不動産業界におけるDXとは

DXは、デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation)の略称です。

この言葉を提唱したのは、スウェーデンの大学教授であったエリック・ストルターマンです。

大学で教鞭をとっていた彼は、2004年にDXの定義を具体的に公表しました。

彼の定義によると、DXとはIT技術を活用して生活や経済をより豊かにしていくことを指します。

「IT設備を導入して業務のプロセスを減らす」や、「時間がかかる手作業をAIに肩代わりしてもらう」などはDXの一例です。

ビジネスにおけるDXの場合、IT化による組織全体の変革といった意味もあります。

AIなどを新たに導入した場合、従来と同じ業務の仕組みや組織の構成ではスムーズに対応できないケースも少なくありません。

必要に応じて業務や組織全体を見直すことも、DXに該当します。

このDXは、経済産業省でも導入を始めています。

ITシステムを使って行政手続を簡略化したり、登録されているデータを再活用したりすることは、経済産業省が行っている試みのひとつです。

不動産業界にDXを取り入れるメリット3選


DXを導入した場合、不動産業界でもさまざまなメリットが期待できます。

導入を進めるべき理由としては、以下の3つが挙げられます。

1.顧客へのサービス向上

ITシステムを活用すると、それまでは難しかったきめ細かいサービスが可能になります。

たとえば、システムに登録されたデータから個人の好みや興味の対象などが把握できれば、相手が必要としている情報を提供してサービスの質を向上させることができます。

一人ひとりの顧客に合わせて最適なサービスが提供できるようになるところは、DXを導入する大きなメリットです。

2.社内の業務効率化と働き方改革

AIなどの機械が業務を代行するようになれば、例えばひとつの仕事にかかる時間が大幅に短縮できる可能性があります。

他にも、無駄なプロセスを省略できるなど、業務を効率的に行えるようになれば、一人ひとりの社員の負担が軽くなることが予想されます。

残業や休日出勤などが必要なくなると、その企業で働く社員の働き方そのものが変わるかもしれません。

3.売上の向上

インターネットなどを活用して質の高いサービスが提供できるようになると、売上にも良い影響が期待できます。

不動産の購入や売却などを考えている人は、最初にインターネットで情報を集めるケースが少なくありません。

「サイトで欲しい情報が得られる」、「契約がペーパーレスでできる」などの他社にないメリットがあれば、最終的に自社を選ぶ人が増える可能性があります。

不動産業界にもDX!ネット銀行で金利優遇のある住宅ローン


DXのメリットを活用しているのが、インターネットで取引を行うネット銀行です。

ネット銀行は、サイトを通じてさまざまな手続きや取引が行えるのが特徴です。

「銀行まで出向く時間がない」や「自分のペースで契約や取引をしたい」といった人にとって、このような特徴がある銀行は、便利な金融機関になるでしょう。

ネット銀行が人気を得る理由には、住宅ローンの金利が安いことも挙げられます。

住宅ローンを選ぶ際には、金融機関の金利を比較してより安いところを探す人が少なくありません。

実際、インターネットでの取引にあまり慣れていない人も、「金利が安い」というメリットに惹かれて、ネット銀行を選ぶケースも見られるようになっています。

店舗をもつ大手銀行でも、DXを導入してインターネット専用の低金利住宅ローンを用意するケースが増えています。

不動産業界でDXを導入すれば、金融機関と連携して金利優遇がある住宅ローンを顧客に紹介できる可能性もでてくるでしょう。

不動産業界のDX導入事例3選


不動産DXの活用法を知りたいときに参考にできるのが、三井不動産と野村不動産、長谷工コーポレーションの導入事例です。

1.オンライン内見の導入(三井不動産)

三井不動産では、AIのカメラである「OPTiM AI Camera」を導入して、オフィスビルの内見をスムーズにできるような試みを行っています。

株式会社オプティムが開発したこちらのカメラは、建物内の状況を離れた場所から確認できるのはもちろん、データの記録もできます。

入店者の数や性別、年齢層など、さまざまなデータをグラフにできるため、設置場所の状況を詳細に把握することが可能です。

2.住宅ローンの業務を専門家にお任せ(野村不動産)

野村不動産が導入しているのが、住宅ローンの業務専用のアプリ「野村の仲介+(プラス)いえーるダンドリ」です。

iYell(イエール)が提供しているこちらのアプリの便利な点は、顧客の住宅ローンの業務をiYellの住宅ローンデスクにお任せできることです。

アプリでは、野村不動産とiYell、顧客がチャットでコミュニケーションすることも可能になっています。

自社で状況を確認をしながら分業できるのが、このアプリのメリットです。
住宅ローン業務代行サービス「いえーる ダンドリ」

3.顧客の新築分譲マンション探しをサポート(長谷工コーポレーション)

長谷工コーポレーションが提供しているのが顧客の新築分譲マンション探しをサポートする「マンションFit」です。

マンションの購入を検討し始めている潜在顧客に対して新しいアプローチが可能な方法となっています。

LINEの「マンションFit」公式アカウントを友達追加すると、気軽にチャット上で購入者データを踏まえたおすすめ物件情報をみることができ、営業担当のいない非対面式でモデルルームの見学予約も可能です。

自社にマッチしたおすすめのDXツールを選ぶ方法

DXを推進する場合には自社の中長期ビジョンを明確にする必要があります。その上で、ビジョン達成に向けて最も解決すべき課題に合ったDXツールを選ぶことが重要となります。

■ビジョン達成に向けての課題例

  • 知識/情報/ノウハウを持っていない
  • 人的リソースが足りていない
  • 予算があまりない

また、DXツールを選ぶ上で気を付けたいポイントは以下の3点が挙げられます。

1.柔軟性・拡張性があるか

目まぐるしく変わるビジネス環境や顧客のニーズに応じてシステムそのものが柔軟に対応できることが求められます。そのためDXツールに関しても柔軟性や拡張性があるものを選ぶといいでしょう。

2.システムの使いやすさはどうか

DX推進は1つの部署のみで行うことはできず、経営者からIT部門、業務部門まで多くの人々が関わることになります。専門的な知識を持つ人材でなくとも使いやすいものであるかは重視すべきところです。

せっかくDXツールを導入しても一部の人しか使えなければDX化は進みません。会社全体で使えるツールであるかどうかも検討しましょう。

3.導入後しただけで終わらないか

システムは導入したら終わりではなく、むしろその後の運用プランが大切です。導入後も適切なサポートを受けられるものであれば安心でしょう。

導入しただけで終わらせずに、その後きちんと運用し、ビジネスの結果に反映させていく必要があります。

不動産DXのメリットに注目して活用法を考えてみよう

企業が導入を始めているDXは、不動産業界でもいろいろな形で活用できる可能性があります。

期待できるメリットや企業の導入事例などをチェックして、自社のビジネスがDXの導入でどのように変わるかをイメージしてみましょう。

この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。