建築予定地から遺跡が出たらどうなるか|埋蔵文化財包蔵地の調査

投稿日 : 2019年11月25日/更新日 : 2023年04月10日

日本中の多くの地域で、古墳・土器・石器などが普通の住宅地から出土する場合があります。また、現在では丘の上の土地であっても、はるか昔には海岸があって貝塚だったという土地も珍しくありません。

土器や石器などが埋蔵されている土地を埋蔵文化財包蔵地と言い、すでに埋蔵文化財が発見済で過去の遺跡の存在が確認されている土地を周知の埋蔵文化財包蔵地と呼びます。

現在日本で確認されている周知の埋蔵文化財包蔵地は約46万個所あり、毎年9,000件あまりの発掘調査が行われています。

マイホームを建築しようとしている土地で遺跡が発見されたら、はたしてどうなるでしょうか。

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宝物が出たら大金持ち…とはいかない遺跡の発見

お客様の中には「財宝が出てくるかもしれないね!」と笑いながらお話されている方もいらっしゃいますが、宅建業者の立場からしたら埋蔵文化財の発見は笑い話ではすまされません。

埋蔵文化財がもし出てきてしまったら、その後のマイホーム計画は長期間の延期、あるいは頓挫してしまうかもしれないからです。

今回は、周知の埋蔵文化財包蔵地で行う調査についてご説明します。

 

建築予定地が「周知の埋蔵文化財包蔵地」の場合

建築予定地が周知の埋蔵文化財包蔵地にある場合、建築工事の60日前までに管轄自治体の教育委員会に届出を行う必要があります。

届出により現地調査と試掘が行われ、埋蔵文化財が土中に含まれていないかを調べます。

これは工事規模の大小に関わらず、対象区域では必ず行わなければなりません。

また自治体によっては、周知の埋蔵文化財包蔵地だけでなく近接地でも届出が必須の場合もあります。

試掘により埋蔵文化財が存在しない、もしくは埋蔵文化財を損傷する恐れがないことが判明すれば、それで調査はおしまいです。

しかし試掘によって遺跡があることが判明し、建築工事によって遺跡の紛失や損傷の恐れがあると判断された場合は建築に待ったがかかります。

埋蔵文化財が発見されたら、その場所で本格的に発掘調査を行い、埋蔵文化財の記録を残しておかなければいけません。

さらに、その発掘調査の費用は土地の所有者(開発者)が負担することになります。せっかくのマイホーム建築の工事も行えず、想定外の多額な費用がかかってしまいます。

 

出土した埋蔵文化財の行方

遺跡が見つかって発掘された埋蔵文化財は、その後どうなるでしょうか。

出土品は原則として、発見者(開発者・土地所有者)が所轄の警察署長に提出を行います。

そして警察署から都道府県・政令指定都市および中核市の教育委員会にまわされ、教育委員会によって鑑定が行なわれます。

鑑定の結果、文化財であると認められた出土品は、発掘地の都道府県に帰属されます。

土地所有者は発掘調査の負担をしたからと言って、出土品がもらえるわけでもありません。

要る要らないはともかくとして、土地所有者であるお客様にはほとんどメリットがありません。

 

まとめ

今回は、周知の埋蔵文化財包蔵地の建築計画を立てる際に必要な現地調査と試掘、およびその後に埋蔵文化財が出土した際の対応について解説しました。

周知の埋蔵文化財包蔵地は各自治体のホームページで分布図が確認できます。

建築予定地が周知の埋蔵文化財包蔵地に位置している場合には、必ず管轄地域の教育委員会窓口で届出や発掘調査の詳細などを確認し、お客様に十分なご説明をしておくようにしましょう。

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この記事の監修者
小林 紀雄
住宅ローンの窓口株式会社代表取締役・iYell株式会社取締役兼執行役員
2008年にハウスメーカーに入社し営業に従事。2010年からSBIモーゲージ株式会社(現アルヒ株式会社)に入社し、累計1,500件以上の融資実績を残し、複数の支店の支店長としてマネジメントを歴任。2016年にiYell株式会社を共同創業し、採用や住宅ローン事業開発を主導。2020年に取締役に就任し、住宅ローンテック事業の事業責任者としてクラウド型住宅ローン業務支援システム「いえーる ダンドリ」を推進し事業成長に寄与。