登記簿謄本「甲区」の見方|所有権の確認ポイントと対処すべき記載とは

投稿日 : 2019年10月29日/更新日 : 2023年02月07日

 

「権利部(甲区)」の概要

不動産についての法的な記録を参照できる「登記簿謄本」は、宅建業者にとって担当物件の状況を知るうえで重要な資料となります。

今回は、登記簿謄本の中で所有権に関する記載である「権利部(甲区)」についてご説明します。

 

「甲区」の記載をまとめると、以下のような内容となります。

 

◇「権利部(甲区)」の記載内容

  • 登記上での現在(および過去)の所有者の住所・氏名
  • 所有権を取得した日付・原因(売買、相続、贈与など)
  • 第三者による所有権の制限(差押、仮差押)

 

甲区の詳細内容と確認すべきポイント

それでは、甲区の記載で確認したいポイントを、項目ごとに紹介していきます。

登記簿の記載と実際の状況が一致しているか確認することが大切です。

 

◇順位番号

登記された順番に数字が付与されます。

 

◇登記の目的

登記の目的には、次の4つがあります。

 

①所有権保存 初めての登記の場合。
②所有権移転 2度目以降の登記の場合。

合わせて「登記の原因(売買、相続、贈与など)」も確認する。

③仮登記
(「所有権移転仮登記」または「所有権移転請求権仮登記」)
何らかの理由で本登記ができない場合に、将来の本登記に備えて権利の優先順位を確保する目的で行う。

仮登記だからといって軽く見積もらずに、担当者は注意が必要。お客様の権利を確実に守るべく、充分な確認・説明をする。

A. すでに権利変動は発生しているが、登記済権利証書など必要書類の紛失や不備により本登記が行えない場合には「所有権移転仮登記」。

B. 売買契約や決済が完了しておらず、まだ権利が発生していない場合に行うのが「所有権移転請求権仮登記」。

④差押・仮差押 税金の滞納や抵当権行使が原因である場合が多い。

所有者に原因・滞納などの状況など詳細を確認する必要がある。→ 差押通知書や督促状などを確認。

 

◇登記年月日・受付番号

登記申請を受け付けた日付と受付番号が記載されます。

 

◇権利者その他の事項

所有権登記の「原因(例:売買、相続、贈与など)」と「所有者(または債権者)」の住所・氏名が記載されます。

記載例:税金の滞納の場合→原因「税務署差押」・債権者「東京都(など自治体名)」

 

登記簿と現況が一致しないなら対処が必要

登記簿と実際の状況が合わないケースとは、具体的には以下のような事例です。

 

◇登記簿と現況に相違がある場合の例

・登記名義人と現在の所有者が一致しない。

・登記名義人の名前が違う(婚姻・離婚など)。

・登記名義人の住所が違う(転居・住居表示の変更など)。

・登記名義人が死亡している(相続登記をしていない)。

 

上記のような相違点が発見された場合には、相違の原因究明と状況に応じた対処が必要となります。

その際、必要があれば、司法書士など各分野の専門家に相談し、適切な協力を受けましょう。

不動産営業実務マニュアルに興味がある方は下記の記事をご覧ください。

不動産営業実務マニュアル

不動産業務実務の基本に興味がある方は下記の記事をご覧ください。

不動産営業実務の基本

不動産業務実務の基本関連記事